平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプ 4Uラックマウント型の製作

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はじめに


ラックハンドルがカウントミスで不足していました。ハンドルが付けば今度こそ完成です。

ぺるけさんの、平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプを製作しました。
2SK170差動+ダイアモンドバッファのヘッドホンアンプは私も作りましたが、思想や音が良く、実はパワーアンプの方も気になっていました。
製作記の順番が入れ替わってしまいましたが、私にとって初めての真空管アンプ製作です。

こんなHPを作ってるくらいなので、一回くらいは真空管アンプを作ってみたいとは常々思っていました。
メインアンプとして使えるかどうかは全くわかりませんでしたが、面白そうだったのでやってみることにしました。

ケースの検討

とりあえず、作るのにあたって一番困るのがケースです。
ステレオ構成か、モノブロック構成で組むか一瞬考えましたが、やはり漢ならモノブロック構成で行きたいところです。
もちろんカッコいいとか特性的なところもありますが、一番は重量です。
あまり重すぎると移動に凄く苦労するであろうことは目に見えているので・・・
基本的には持ち運びは全くせず、設置したらそのままの予定ですが。

アンプの回路自体は同じなので、せっかくなら人と違うものを作りたいところです。

重量や発熱的には、スピーカー近辺の床あたりに置くことが予想されます。
私の場合部屋がお世辞にも綺麗とは言えないのと、作業中や部品を運んでいる時など、
アンプの上に何も落下することがない、とは言い切れない環境にあります。
真空管を割ってしまわないよう、何かしらのカバーが欲しい。

悩んだ末、一般的と思われる弁当箱スタイルはやめて、ラックマウントできるようにしようと考えました。
真空管アンプなんて作ったことがなく、手元で使ったこともないので発熱量がいまいち不明ですが、
多分積み重ねて使うのは無謀くらいには発熱すると思うので、ラックに放り込むことはまずないと思いますが。
早い話、せっかく作るなら・・・と、見た目だけの問題です。

一番手っ取り早いのは、真空管アンプでお馴染みの弁当箱スタイルのシャーシを作って、フロントパネルをくっつけることです。
ベリっと剥がれてしまうので、吊り橋とか鉄橋のような三角形状の構造物でフロントパネルから支えておき、ここにパンチングメタルとかを貼れば、とりあえず所望のカバーは得られます。

重量物がフロントパネルから離れるほどテコのように力がかかり、フロントパネルがねじれたり、
三角形状の板、特にフロントパネル上側のネジと弁当箱最後部のネジあたりに負担がかかります。
そうすると電源トランス、出力トランスはフロント側に持ってくることになり、真空管はリアになります。
発熱的にも、真空管はリア側でしょう。
ただし、フロント左下に電源SW、弁当箱のリア中央付近にSP出力をつけると、トランスや真空管ソケットに干渉するので、結局内側に寄せることにはなりそうですが。

メリットは、 構造自体は簡単で、フロントパネルを分離しなくても底面からアクセスできます。
また、ラックを使わずにそのまま床置きした場合でも座りが良いです。

デメリットは、真空管の放熱はできますが、真空管部分で底からの吸気ができないこと、
保管時、天地ひっくり返したり積み重ねできないこと等があります。
また、重量からトランス類をフロント、真空管をリアに配置することになります。
普通はトランス側に入出力、真空管側にアッテネータ等の入力関係を置くので、
ACインレット、ヒューズ、入出力がリア、電源SWがフロントとすると、
内部配線が行ったり来たりすることになりそうな気もします。

もうひとつは、ぺるけさんと同じように、弁当箱をフロントパネルに付ける方法。
重量物がフロントパネルから離れるほどテコのように力がかかりますが、
この場合、フロントパネルに弁当箱が付くので、重量物であるトランス類がフロントパネルに近くなります。

メリットとして、重量に対しての配慮や、持ち上げた時のバランス的に有利です。
フロントパネルに弁当箱がチャンネル状にくっつくので、ねじりにも強そうで剛性面では安心感があります。
また、真空管の上下に大きなものを配置しない限り、下から吸気してそのまま上に放熱できるので、排熱面ではかなり有利です。
他、配線に合わせてレイアウトを決める等、配置はわりと自由にできそうな気がします。
デメリットは、ラックマウントすることが前提で、このままだと床置きした時に座りが悪いこと、
フロントパネルが弁当箱の蓋を兼ねるので、フロントパネルを分離しないとメンテナンスが困難なことです。
ぺるけさんの場合は、棚用の金具で床置きできるように作ってあるようです。

悩みましたが、後者の方が熱的に良いと思われ、剛性もありそうなので、後者案としました。
作りにくくなりますが・・・

後者案では、熱や重量、配置など多くのメリットがありますが、
ここにカバーを付けるのは単純なパンチングメタルではだめで、別途カバーを支えるための構造物が必要になります。
せっかくなら積み重ね保管ができるくらいの剛性は持たせることにします。
また、最悪一工夫するか、あまり大きくない変更でカバーは外せるようにします。

機器につける入出力、スイッチなどは悩みどころです。
ぺるけさんのオリジナルは、プリアンプでの調整前提でアッテネータがないですが、
うちの場合、PC直結等の可能性があり、あった方が良いので付けます。
パワーアンプ扱いで、入力切替は不要ですので、セレクタは付けません。

もしラックマウントならフロントにも入力が欲しいかな?とも思いましたが、
何でも盛り込みすぎるとゴチャゴチャするし、機能盛り込み過ぎてぐちゃぐちゃになり、可搬ミキサの製作やめたことがあるので、今回はシンプルにしました。
このサイズで重量があり、持つところがないのは苦しいので、ハンドルを付けることにします。何よりかっこいいし。
リアにもハンドルを付けると、端子の保護や背面を底にして立てられること、重すぎた場合二人で運ぶ場合に楽なので、リアにも付けます。

ということで、

フロントパネル: 電源SW、数ステップのアッテネータ、ハンドル、表示灯
リアパネル: XLR 1系統、スピーカー端子、インレット、ヒューズ、ハンドル

を付けます。

構造としては、フロントパネルに弁当箱をくっつけて、そこにアングル状の支柱を伸ばせば良いでしょう。
仮にこれをサイドパネルとでも呼ぶと、サイドパネルとフロントパネルを共締めする形でハンドルを付け、後ろの荷重をフロントパネルへ逃がし、かつフロントパネルのラックマウント耳付近のねじれを防止します。
この時、弁当箱をフロントパネルとサイドパネルに固定すると、サイドパネルかフロントパネルのいずれかを外すことができます。
サイドパネルが付いているときは、弁当箱が平行四辺形状に鉛直方向へ変形することを防げます。

サイドパネルはチャンネル状にしておくことで、変形しにくく後ろの荷重にも強くなり、ここに板を被せればトップカバーになります。
これで行きましょう!

EIA のラックサイズで、フロントパネルの寸法が決まります。
問題は、サイドパネルとハンドルを共締めしてしまうと、ハンドル位置と内寸に制約ができることです。
例えば、フロントパネルを含まないシャーシ本体(胴体部分)の横幅を 430mm とすると、ハンドル間のピッチを 430mm にするのは難しいです。
手っ取り早いのは、サイドパネルに使用しているチャンネル状の部材を左右反転し、外側が窪みになるよう配置することですが、この場合内寸が減ってしまいます。

このあたりはあまりハンドルの位置が内側過ぎるとかっこ悪く、デザイン的にも影響が出ます。
また、今後 2U、3U 等のケースを作りたくなった場合、大きく寸法が変わると調和が取れません。
内寸と構造、他サイズで作った場合の組み合わせ、ハンドル位置などの制約を考慮しつつ外形寸法を決定しました。

このあたりは記事一本分くらいボリュームがあります。
平行して、EIA 2U の汎用ケースを設計しているので、そのあたりの詳細は別の記事にまとめたいと思います。

ケースの設計

まずはシャーシの製図からですが、その前に使う部品を決めます。
電源スイッチは、日本開閉器のJW-Mシリーズを使用します。
私が作る時いつも使っているもので、シーソーの途中で止まらないガッチリしたクリック感、小気味よい音で作りが非常に良く、お勧めです。

アッテネータは、ALPS の SRRN 型ロータリースイッチを使います。
安く、小型で半密閉構造なので気に入っていたのですが、最近そのへんの部品屋では入手が困難になってきました。秋葉原とかまで行けばまだありますが。(製作時はまだ入手できましたが、現在入手不可です)
今回は手持ちのものを使いますが、後々のために東京測定機材のロータリースイッチも付けられるようにしました。

(サトーパーツHPより)
表示灯は悩みました。
3mm のLEDは本体に対して小さすぎるし、かといって 5mm のLEDを付けるのも芸がありません。
ブラケット付きが見た目にも固定にも良いですが、ブラケット自体がださいものが多いです。
ポピュラーと思われる サトーパーツの DB-2-N とか、似たような外観のブラケットは入手容易で使用したことがありますが、ちょっと格好悪いです。傾斜が中途半端で、直径に対して意外と高さがあるのが原因だと思います。

(サトーパーツHPより)
サトーパーツのラインナップでもう少し大きく、とか言って DB-5-N あたりを出すのも微妙です。
斜めからの視認性は良いなどメリットは有りますが、アンプの電源ランプというより古い配電盤の表示灯みたいになってしまいます。

角型でも良いのですが、角型だと余計選択肢がありません。
角型の場合、正方形より横長のバー状のものが良いかな?とも思いましたが、これも選択肢がほとんどありません。

(マルツHPより)
いろいろ探したところ、岡谷のブラケット付きLEDがそこそこ良い感じだったので、これを使います。
余計な傾斜が少なく、発光面が砲弾のような形状でなくフラットで、シンプルかつとても美しいです。
発光面は完全な平坦でなく、やや拡散気味のつや消しで素子が見えず、軽くスピン目が入っているので、デザインが大人しい割に良いアクセントになっています。
直径さえ機器に合えば、わりと何にでも合いそうです。
(製作当時はマルツ電波で投げ売りしていましたが、現在は入手不可です)

あとは、真空管ソケットやブッシュ、調整用ボリューム等も選定して寸法を用意します。
データシートがあればそのまま使い、記載がなければ現物から採寸して決めます。
カットアウト寸法まではないものが多いので、そのあたりは遊び等を考えつつ決めていきます。

寸法が決まったので、さっそく設計します。
重くなってしまいますが、すべての部品が載るので、剛性と値段的に SPCC t=1.6 としました。
SPCC にした時点で防錆の手当て(めっきなどの表面処理や塗装)は必須です。
せっかくなら黒が良いので、つや消し黒の焼付塗装にしましょう。

シャーシに載せる電源トランス、出力トランス、真空管等の位置を配線や周囲部品に合わせて決めます。
リアパネルへの配線やチョークへの配線は全てここから引き出すので、転ばぬ先の杖ということでブッシュを付けることにしました。

弁当箱は、せっかくならと折り返しを十分取りました。
また、鉛直方向へ平行四辺形状に歪まないために、縦方向は三辺結合しました。
先ほど、フロントパネルを外せる~の下りがありましたが、フロントパネルに出す電源SW、アッテネータ、表示灯は弁当箱状のシャーシ側に付けました。
こうすることで、フロントパネルに出る部分が落としこみになり、電源SW等がシャーシ側にありますので、フロントパネルを外しても配線がびよ~んとなりません。
従ってフロントパネルは単純な板一枚になり、外した状態でも通電でき、他の部分を分解する必要がありません。

フロントパネルはこんな感じです。
SPCC t=3.2mm で、つや消し黒焼付塗装です。

サイドパネルはこんな感じです。
メインは弁当箱上のシャーシで、シャーシ~サイドパネル、サイドパネル~フロントパネルの組み合わせは長穴として公差吸収します。
また、サイドパネルは安く上げるため左右共通化してあります。
これ以降は、全て A5052P です。
皿ネジを使うため、t=2.0 としました。

天板は、単なるカバー程度で、放熱を優先して大穴だらけにします。

天板の角は痛くならないよう、C面取りします。
サイドパネル等の曲げ部が見えるとカッコ悪いので、リアパネル、サイドパネルは天板より2mm内側に引っ込んでいます。
また、安く上げるため天板は底板と共通化してあります。

せっかくなら、リアパネルにアワーメータも付けましょう。
松下の薄型のもので、リセットのできない TH631 (AC100V仕様) です。
他、自動車の走行距離+ODOメータのように、積算時間+リセット可能のサブ表示付きのものもあります。

中にモーターが入っており、通電するだけでカウントアップしますので、電源SWの後に割り込ませるだけで使えます。
モーターというと電源が汚れるような気もしますが、微小信号を扱うようなものではなくパワーアンプです。
ぺるけさんのアンプはチョークインプットのフィルタ付きだし、アワーメータは物理的に離しますので、多分大丈夫だと思います。

ということで、リアパネルは、こんな感じです。

A5052P(アルミ)にした部品は、そのままだと傷つきやすいのでアルマイトをかけてしまうのが一番手っ取り早いです。
ただ、やり過ぎると高くなってしまいますので悩みどころです。
今までは奥澤を使うことが多かったですが、今回はシャーシの溶接部分がネックで加工困難だったため困りました。
見た目は普通ですがSPCC t=1.6mm とか言っておいて、曲げしろが少なく、そこにバーリング指定までしてあります。
結構イヤンな構成です。
加工するとなると溶接必須だし、一番だめなのは溶接したことない私が図面引いてますからね・・・

ネットで探すと、他にも業者がいろいろあります。
とりあえず次を探すことにしましたが、見積もりを片っ端から出すと断りにくいので、試しに一箇所聞いてみることに。
次もダメだったら、私の作りが悪いんだろうと設計をやり直すつもりです。

金属加工に出した人のblog もちょくちょく出てきますが、見積が長いとか、
やはり個人向けを謳っていても煙たがっている感があったりとかもあるようです。
また、更新停止してるのかネタがないのか、古いページのままだったりとか・・・

そんな中、以前から名前を聞いたことがある、日本プレート精工がわりと評判良さそうだったので、見積もりを出してみました。
溶接して中級公差内で製作可能とのことで、値段も変な加工の割には比較的良心的だったので、話を詰めました。
アルミに関しては、t=1.5、t=2.0 のみアルマイト済みの板が最初から用意しているらしく、
それへの追加工なら A5052P に毛が生えたくらいで加工できるようです。

アルマイトをかけてしまうと表面の導通がなくなりますが、追加工であれば、追加工部分はアルマイトがありません。
ネジを介して導通を確保したかったので、皿もみ部分やバーリング部分にアルマイトがないのはかえって好都合です。
強いて言えば外形断面が困るかもしれませんが、断面だしちょっと色違いの方がかえって良いアクセントになるかも?

また、放熱スリットに指定していたサイズの型がないようで、追い抜きになるとのことだったので、
近似サイズに変更したり、材質と加工方法について二~三回メールで打ち合わせ後、発注しました。

部品手配

初段、定電流用の2SK30ATM、定電圧、定電流ダイオード、FRDはぺるけさんの頒布を受けました。
さすがに10DDA10は手持ちにあるので、手持ちのを使用。
終段定電流用のパワートランジスタは同一品はないものの、部品箱に転がってるもので何とでもなるので、手持ち在庫でやりくりします。

驚いたのは、頒布のFETの揃え方。

定電流用の合計6[mA]×2は、例えば

・4.2[mA]+1.7[mA]=5.9[mA]
・4.5[mA]+1.5[mA]=6.0[mA] (電流値は適当です)

とか、バラバラで来るかと思ったら、

・4.5[mA]×2
・1.5[mA]×2

のような同じグループのペアで来ました。

初段の差動増幅用になってる2SK30ATMはもっと凄くて、何とクアッド!同一グループ内で4個の組み合わせ。
こっちもグループ単位のペア×2かと思っていました。
多分、混ざってわからなくならないような配慮でしょうか?
確かに、真空管アンプを初めて作る人も多いみたいだし、(というか私も初めてである)混乱するかもしれないのでわかることはわかりますが、全部の頒布をこういう組み方でやってるなら選別の手間も母数もかなり凄いような気がする・・・。

トランスは、オリジナルと同じタンゴのFE-25-8を買ってきました。
名前は知ってますが、買うのは初めてです。
タンゴタンゴと名前は聞いていたのでさぞかし高かろうと思っていたら、むしろ逆に安い部類だったんですね。びっくりしました。

化粧板こうなってたんですね。
当たり前といえば当たり前ですが、結構新鮮です。

真空管は、オリジナルと同じく5687+EL34にしました。安くて無難な構成みたいだし。
一箇所で揃って安いということで、ECGPhilips の JAN 5687 と、エレハモのEL34を選びました。
フロービスで購入。

開封

真空管は見たことはありますが、実物を手に触れるのは初めてです。
触ったり指先で軽く叩いた感じ、想像より意外とガラスが薄い感じがします。
5687 のサイズでこの厚みならわかりますが。
ロシア製です。

組み立て

金属加工を依頼していたケースが届きました。

当然ですが、さすが板金屋さんの仕上がりで、とても綺麗です。
右上の油は私が付けてしまったものです。

塗装もさることながら、この曲げと溶接の時点で自分で作るのはムリです。

念のため検品しましたが、寸法もバッチリ出ています。
基本的にはこのシャーシとフロントパネルだけで剛性を出して、あとの天板等は単なるカバーです。
しなったりねじれたりしないように箱形状にして、シャーシ側にスイッチ等も全部置いたので結構変な形をしています。
今回は、板金屋さんにやってもらうならと、4面にタップを立てています。
自分でやるなら大人しくキリ穴+ナットで逃げて、こんな冒険はしないところですが。
そんなこともあり、図面で公差指示ありとはいえ結構心配していましたが、さすがプロの仕事です。

これを見るに、焼付塗装後にタップを立て直してあるようです。
そこまで詳細は詰めていませんでしたが、言わなくてもきっちり丁寧な仕事です。

向かって右のフランジ部分は曲げで、手前のコの字型のフランジ部分は溶接です。
焼付塗装で目立たなくなっているのもありますが、曲げと同じような雰囲気になるように丸めてくれました。

工作で業者に丸投げするのもちょっと・・・な感じかもしれませんが、SPCC t=1.6
なので、仮に平板だとしてもこのサイズの長角穴、四角穴をあけるのは正直かなりきついです。
A5052P t=2.0 くらいまでならハンドニブラが使えますし、仮にそれ以上の板厚でもまだやりようがありますが、SPCC だと一気に労力が増えます。
穴あけも、A5052P ならハンドドリルだけでも空けれないことはないですが、SPCC だとボール盤+切削油がないとやってらんないです。
以前はボール盤でもフライス盤でも使える環境でしたが、今は工作機械の類が何もないので、SPCC の加工は正直やりたくないのが本音です。

と思っていたら痛いミスが発覚しました。
出力トランスの端子用丸穴が小さく、トランスがぎりぎり入らない!
こういうことにならないよう、トランスの長角穴、丸穴は後から大きくしました・・・が、寝ぼけて逆に補正かけてしまったようです。
ということで、大きくするつもりが逆に小さく・・・

また、フランジをロータリースイッチ用に伸ばすとトランスの一番角のネジが締められなくなるので、
ドライバを通す穴を作図上は記入していましたが、多分変なレイヤに書いたようで出力されていませんでした。
CADなのでうっかりやってしまいました。手書きならこんなことはないでしょうが・・・
急いで書いてチェック適当だったのが主原因ですが。

あと、オクタルソケットは、タイトと OMRON のソケットを入手し、放熱的にタイトのつもりでしたが、
寸法を取り違えて、OMRON 仕様になっていました。今回は OMRON ソケットにします。

トランスの一番角のネジは小道具を使えば締められますが、トランスが入らないのは話しになりません。
剛性アップのために SPCC t=1.6 にしてしまったので追加工は絶対したくないと予備の汎用穴まで設けたくらいです。
絶対やりたくないですが、やむを得ず穴を広げることにします。

ヤスリで全部やる気になれないので、リーマーで広げることに。
手持ちのリーマーで何とかなったのは救いでした。
大口径のリーマーは高いし、でかすぎると干渉して作業不能になりそうです。
綺麗に焼付塗装してもらったので、塗装をはがさないように新調に・・・

結構広がりました。

リーマーの回す取っ手の棒がケースに干渉するので時間がかかりましたが、入りました。

リーマーとヤスリでできる範囲で軽くバリ取りして、切子を掃除。
断面が素地むき出しになってしまったので、軽く防錆用にペイントします。

もう片方も作業が終わる頃には一時間半以上経過。

断面の塗装(ペンキ)を乾燥させるため、この日はこれにて終了。

仕方ないので、仕上がった金属加工品でも見て和むことにします。
こちらはサイドパネル。
本当は、長丸穴と長丸穴間の隙間は同一でした。
一発で抜ける型サイズに変更して、スリット位置を変更しなかったため穴の間が細いです。
図面修正が面倒だったため、という酷い理由ですが。

天板。

リアパネル。

アッテネータは、使用する接続元機器や手持ちの定数からやりくりして、このようになりました。

SRRN シリーズの2段ショーティングタイプを使用します。
接点の信頼性を高めるため、2段ある前段、後段を抵抗の足で貫通させ、全てパラ接点で使います。
お気に入りだったのですがディスコンとなり、入手できる場所が少なくなってきてしまいました。
1段ならそこら中に扱いがありましたが、2段のものはさほど出ないでしょうから、早々に消えるような気がしています。

完成したアッテネータ。
アッテネータというより、星型エンジンのようです。

組み立て完了した電源部。
15×2列の平ラグ板に実装しています。

450V の電解コンデンサというと、やや入手が面倒です。
ケース内の温度が高くなることが予想され、かつ長く使いたいので105℃品以上が必須です。
真空管がどのくらい発熱するかわからなかったので、処女作ということもあり長寿命品にしておきました。
直径とリードピッチの都合が良く、部品のクラスからいくと比較的安価だったニチコンのCSシリーズを使用しました。
高リプル対応の長寿命品で、105℃ 10,000時間品です。

こちらはアンプ部。

段間結合のDCカットコンデンサは高耐圧品が必要ですが、一般入手できてポリプロピレン系あたりで探すと選択肢が少ないです。
メタライズドポリプロピレンなので、わりと小型です。
入手容易な中では、比較的安価な部類だと思います。
以前は松下のあずき色の各種フィルム系コンデンサはそこそこ安くて入手性も良く定番に近かったと思うのですが、最近は見る影もないですね。

位相補償用のコンデンサは、ニッセイ電機のポリプロピレンコンデンサです。
かなり安価でサイズが小さく、音も悪くなかったので千石電商、シリコンハウスに行くたびに買っていましたが、残念ながら入手不可能になってしまいました。
倒産前に買っていたものが結構あったので、これを使いました。

さっそく組み込んでいきます。

いい感じです。

ここまで来ると、少しずつ完成形が見えてきます。

が!ちょっと配線が適当すぎました。
夜ちょっとずつ進めたら、次勧めた時の引き周しが変わったりするし、この長期休みで仕上げないと、とか無理矢理急いでやったら見るも無残な姿に。
正直酷かったので・・・やり直したほうが良さそうです。

とりあえず、ひと通り組み立てたところで、ハンドルが一セット不足することが発覚。

しかし、音は出るぞ!各部のチェックをして火入れ式もバッチリ!

寄り道

ここで、ぺるけさんのホームページ上でミニワッターが発表され、気になりだしました。
年末年始にふらっとBBSを覗いたら、パワーアップ版用の電源トランスの頒布希望者募集を見て、頒布希望を出したり、
平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型」を作って浮気することしばし。

本も買ってみましたが、結構ボリュームがあって楽しめました。
狭く深く書いてあるので、欲しい情報がなければ痛いかもしれませんが、自分の欲しい情報にマッチすればかなり有用です。
動作条件の設定方法やその発展方法が詳細に書かれているので、見ているだけでも面白いです。
そもそも、最近の本で実験を繰り返したり、膨大な実測データと考察があったり、ロードラインまで踏み込んであるのはかなり珍しいような気がします。

配線のやり直し

従兄弟のアンプを修理する間に代替機がこれしかなったので貸していましたが、配線が酷いことがずっと気になっており、いつか直したいと思っていました。
ミニワッターができてからは #1250 とか、BGM用だった機器が遊んでいますが。

結局配線は全部やり直しました。
かなり大変でした。
一番酷かったのがアース周りだったので、「平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型」を作ったノウハウを投入し、母線を用意して落としました。
逆に言えば、前回のこれが適当すぎたために 6N6Pの方を丁寧に作ったので、良かったといえば良かったかもしれません。

定電流用トランジスタの放熱シートを交換したり、結束に手を加えたり手直し。
秋月で買った 2SD2012 が結構あるので、これを使っています。
安くて定格が大きく、コンプリがないものなので気軽に使えます。フルモールドで楽だし。
正確にはコンプリが存在していたようですが、今は入手困難です。

まとめ

こんな感じで、一部のみバラしてメンテナンスできます。
シャーシが変な形をしているのは、電源スイッチ等を全部シャーシ側に付けたためです。
フロントパネルは完全に蓋として使っていますので、フロントパネルを単独で外すことができます。
また、副産物として電源スイッチとアッテネータのつまみが落としこみになります。
球の下あたりにテストポイントとしてチップジャックとバランス調整のボリュームを付けておいたので、フロントパネルを外さなくても天板を開けるだけで球交換や調整できます。

反省点としては、発熱量がわからなかったので放熱最優先で穴だらけにしましたが、本体シャーシの天地部分だけは塞ぐべきでした。電源とかが上から見えますので、さすがにちょっとやり過ぎでした。
ケースは帰宅してから作図開始して一晩徹夜し、朝図面出したので、ほとんど見なおしていなかったのがダメだったと思います。
致命的なミスがなかっただけ幸いかもしれませんが・・・

ということで、ようやく使える状態になった平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプ
ですが、じつは片CH しか配線が直っていないのでもう一手間かかりそうです。
真空管アンプというと、もっとナローとか尖ってるような音を想像していましたが、予想と全く違いました。
MC240 を友人が使っていたので、真空管アンプの音自体は初めてではありませんが・・・。何か不足するようなものは全く感じませんでした。
聴き疲れしなくて聴いていてとても楽しい、不思議なアンプです。

ミニワッターと音の傾向自体は同じような感じですが、ローの余裕のある鳴りっぷりは全然違います。
道中やり過ぎの感はありましたが、これは作って良かったです。

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