汎用 EIA 2U ラックケースの設計

Date

Author

Tik

Comment

0

Category

Tag

オリジナルのカッコいい EIA 2U 汎用ケースを設計しよう!

はじめに

ラックマウントは業務用の機器などが主で、音響機器やサーバなど、様々な製品があります。
どれだけの機器がラックに入れられたかは不明なものの、一部の民生用のオーディオ等でもラックマウントタイプがあります。
EIA規格とJIS規格があり、JIS規格品は放送局とかで使っているようですが、大体の機器はEIA規格品です。

ラックマウントのメリットは、オープンラックやラックケースに好きなように組み合わせることができます。
ラックを使わずに機器を積み重ねた場合、下の方の機材交換となると全部積み下ろししないといけませんが、
ラックに入れた場合、各機器はラックにネジ固定されているので任意の機器のみ入れ替えができます。
各機器間に隙間を開けて設置することもできるので、予備スペースが用意でき、放熱にも有利です。
また、多くの機器積み重ねなくても任意の高さに機器を設置でき、ミキサラックなどはその最たる例です。
もちろん、ラックに入れずとも、裸で使うこともできます。

個人が自宅で使うようなメリットと言われると少々微妙ではありますが、一番大きいのはとりあえず格好良いことです。
個人でラックマウントする人も結構いるようです。
私の学生時代の先輩も少々変態で、自宅でPCとミキサ、プレーヤ等をラックマウントしており、なかなか格好良く仕上がっていたことをよく覚えています。
この先輩は、最近はPCやO2Rがマウントされていると聞きます。

ネットで探すと自宅サーバー関係が多く、オーディオ関係でもいくつかヒットします。
ざっくり検索してみましたが、ラックマウント用ケースに組み込む人はそれなりにいるものの、さすがにケース自体を作ろうとする変(?)な人はほとんどいないようです。

元々は秋葉原にあるケースショップ、奥沢オリジナルラックが比較的安価だったので使用していましたが、
天板、底板がフロントパネル側で約7mm折り返して作ってあり、フロントパネル側の部品配置に影響が出ます。
よく使うところだと、ALPS の定番ボリューム RK27 をセンターライン上に置かず、下とかにシフトした場合干渉します。

この例の場合、フロントパネルの各種部品を下揃えにするため、しなりに弱くなるのを承知で、折り返し部分をハンドニブラで落としています。
オリジナルの状態でもトランスを二個くらい載せ始めると少々強度不足な感があります。天板、底板のフロントパネル側は、折り返しだけで支えていますので、天板の手前側に荷重を加えると簡単にしなります。

踏み台にした時に壊れる・・・とか論外な使い方をしなくとも、既成品の EI コアの電源トランスあたりを載せた場合、天板とのクリアランスが2mm以下になるので、からげ端子が短絡する可能性もあります。
また、その形状と寸法からハンドルを付ける時ピッチに制約が出るなど、色々と不満もありました。

このケースから転換するきっかけとななったのがラックサイズです。
ある時、3U のケースが必要になりましたが、標準品はEIA 1U~2Uのみです。
言えば 3U でも作ってくれると思いますが、勉強がてら他のケースを探してみることにしました。
今思えば、ここから金属加工だらけになった気がしてならないのですが・・・

次に試したものが、ネットで引っかかったぺるけさんの 1U Project の弁当箱ケースにパネルを付けるものです。
奥沢の店頭にケースを買いに行った時、似たようなことをしそうな人がいたのでわりとメジャーなのかもしれません。
市販品でも、古いオーディオ機器だとこういう構造のものを結構見ます。
Neve とかのラック機器もこんな感じだった気がします。
ごついやつだと、JBL/Urei のパワーアンプがこういう構造に近いです。

私の場合、眼から鱗でしかも安価だったので、学生時代に様々なものを入れました。
2U~3U くらいでラックに入れた場合、若干強度不足になります。
こういう時は、アングルを加工して追加することで格段に強度が増します。
この時はフロントパネルとハンドルを共締めとし、アングルに長丸穴を空け、トラス~シャーシ~菊座+ナットで締めています。

ただ、万能というわけではなく、欠点もありました。
最初から箱状なので、加工が著しく困難なことです。
底部は全く問題ありませんが、問題は側面です。
そのままだとボール盤に載せられず、添え木をしてステージに載せることになりますが、ボール盤のサイズや加工位置によっては手動工具での加工になります。

丸穴やインレット一発なら良いですが、これが D-Sub やキャノンコネクタ、SMAレセプタクル等で、しかも大量に並んでいると涙が出ます。大量に追加工した後で平板への穴あけをすると、切削油を挿している時点でも感動すること間違いなしです。

たまにやるくらいならケース加工も結構面白いです。
しかし、あまりにも頻繁に作っていると、電子工作を楽しむはずが金属加工が大半のような錯覚を覚えます。
深夜の研究室で山のように治具を作っている時、

机上検討+回路設計+基板製作 (エッチングやミーリング等含む) : 金属加工= 18:82

くらいに陥り、ボール盤を回しながら

「俺は何で電子工作を楽しむはずが金属加工ばかりしているんだろう・・・」

と思いながら朝日を拝んで昼に帰る生活をしていました。

これはいかん!ということで、

  • 金属加工は板金屋さんに外注する (基本的にはケースのみで、後々の加工は私ができるように)
  • 設計は私が担当する
  • 汎用性を持つこと
  • 追加工が容易であること
  • それなりに安価であること
  • そこそこの剛性を持つこと
  • ひとつひとつの構造物がシンプルであること
  • パズルやブロックのように、任意の部分のみ分離できること
  • 工賃を抑えるため複雑な加工を必要とせず、単純な曲げ、抜きのみで製作可能であること
  • 溶接は使用しないこと
  • 美的にも美しいこと

という方針の元、、自分用に汎用ケースを設計することにしました。

学生時代は様々な機械工具が使えましたので大概の加工はできましたが、今はボール盤すらありません。
一応、年代物の電動ドリルやグラインダー等はありますが。
いくらなんでもボール盤くらいは欲しいところですが、そうすると

「ケガキ用にハイトゲージと定盤だけはいるよな、あれ一回使うと便利すぎてやめられないから欲しい。置き場所はある。」

とか凝り性なだけに負の連鎖が続くであろうことは容易に想像できます。
というか、そこまでは絶対にあります。100%、いや5000000%間違いありません。
さらに、

「アルマイトかけたいし、電源はあるからアルマイト用の溶剤を買おう」

・・・とかも容易に想像できます。
というか、一時期これも検討しましたが、うちのあたりは残念ながら下水がないのです。
近所含め、浄化槽を通って田んぼの排水口行きです。
田植え前には、(村じゃないけど)村中総出でドブさらい大会が絶賛開催されます。
さすがにエッチング液の最終水洗や変な溶剤は流せませんので一切していない経緯があります。
大学の時は、研究室が最上階で屋上が合いていたので良く屋上で塗装乾燥をしていましたが、実家に戻った時にできないから・・・とアルマイトだけは踏みとどまっていました。

ナレ「10年後、そこには中古のフライス盤で削りまわる Tik さんの姿が・・・!」

なんて世界まる見えTV特捜部的なナレーションは聞きたくありませんし、絶対ドツボに嵌る自身があります。
そうすると、また

俺の作業=金属加工>電子工作

の公式が成立してしまいます。≧ですらない。
というか、ドツボに嵌るどころか、

オレ「やっぱり削りだしはいいね。バックラッシュ補正もない汎用フライスだけど、オレの相棒だよ。」

とか言ってそうです。このおっさん、ノリノリである。

  • A5052P t2.0
  • A5052P t3.0
  • SPCC t1.6
  • SPCC t3.2
  • アングル材いろいろ
  • アルミブロックいろいろ

あたりが大量に在庫されている家なんて見たくもありません。そんな未来が見える・・・見えるぞ!
だめ!絶対!

汎用ケース設計の目的

何から何まで加工してもらうと、当然ながら高くつきます。
加工数をそこそこの数量にすると若干安価になりますが、奥沢とかタカチ等のケースを買ってきて、ボール盤で加工することと比べると格段に高いことは事実です。

しかし、既成品のケースへ毎回追加工してもらうよりは安いですし、私のようにしょっちゅう作って改造して、時にはケースを流用して違うものを作る、となると話は別です。
一部の部品を入れ替えるだけで後は全部使いまわせるのは、費用もさることながらゴミが減ります。
毎回ケースの選定する時間や手間が省け、あとは電子工作が楽しめます。そう、楽しめるはずです。

私の場合、気に入ったものは長く使います。
自分で作って、しかも見た目も結構良かったりすれば愛着もより強くなると思います。

そんな理由、経緯からの設計、製作です。
後々の加工や入れ替えを優先したために部品数が若干多いので、一個二個作るだけでは安いか?と言われると微妙です。
私のような使い方をして、かつ長い目で見ないと安価とは言い難いのが正直なところです。
ラックマウントケースであれば、既成品への追加工と比べ、3~4個作ってようやく逆転しはじめるくらいでしょうか。

従って、同じようなことをするのはお勧めしませんので、予め断っておきます。
変な奴もいるもんだな、くらいに見て頂ければ幸いです。


少しずつ温めてきた本汎用ケースですが、前から興味のあった真空管アンプとして、
ぺるけさんの平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプケースを設計して感触を掴んだ後、紆余曲折を経て生まれました。

このケースを使用した一発目に、同じくぺるけさんのミニワッター6N6P/6DJ8 版を製作しましたが、結果は大満足で作った甲斐がありました。
本稿では、設計段階の紆余曲折などを取り上げます。

基本ラックサイズの選定 (基本サイズが2Uに決まるまで)

EIA 1U で測定システムの電源ユニットやぺるけさんのヘッドホンアンプなどを作りましたが、問題は 44mm の高さです。
ロータリースイッチやボリューム、電解コンデンサ、スペーサなどの基本的な部品から既に高さ制限にひっかかり、部品選定に非常に苦労します。

特に電源トランスの高さ制限が非常に厳しく、安い EIコアのタイプだと既成品だと間に合わないことがほとんです。
そもそも EI コアの場合、その高さからすぐ一個あたりの容量が頭打ちになります。
ノグチの場合、EI コアの安価なものは概略寸法しか記載がなく、ネジピッチは買って測るしかありませんが、
東栄変成器、菅野あたりの標準品は全て詳細寸法が記載されているので、標準品で決めてから通販だとその二社くらいから選定することになります。
FAX を出すので一手間かかりますが、価格や納期だと東栄変成器でしょうか。

秋葉原に行った時、いくつか見繕ってきたのがこれです。
左は、以前 1U のヘッドホンアンプを作った時に買った余りで、右のノグチはスペックが良さそうだったので買って、そのまま部品箱行きだったものです。

仮に、44mm から天地のクリアランスをそれぞれ1mmずつ取り、板厚t2 とすると、44-((1+2)*2)=38mmが内寸高さになります。
36mm 前後の高さのEI トランスというと、18V なら 0.2A、9V でようやく 0.4A 取れます。両電源をやろうにも、単電源で12V~15V くらいを作ろうにも、一個でやるのは結構厳しいです。
また、この高さのトランスの場合、一次側 90V、100V、110V のようなタイプはなく 100V 一発だけなので、一次側での微調整ができません。

複数のトランスを使うこともできますが、±15V で 0.5A くらいを作ろうとするとトランス4個とか。
最近、共立に安価なトロイダルコアトランスが入荷しましたが、美味しそうなところが結構少ないです。
同じくシリコンハウスの店頭で大阪高波の OIコアトランスがあって安くて良いと思いきや、聞いてみたところスポット的な扱いらしく、それ目当てにするのもなくなると痛いです。

以前、研究等に作った計測器用の1U 電源は、容量が欲しかったのと余計な爆弾を抱えたくないこともあり、Cosel
のブロックタイプのAC/DCスイッチング電源にフィルタを付けて使用しました。
スイッチング電源であれば 50W クラスでも余裕で入りますし、突入防止やら各種保護回路が最初からあるので、使いようによってはとても便利です。
が、フィルタをカット&トライしてスイッチングノイズを綺麗にするのは結構面倒くさく、微小信号を扱おうとするとトランス式のが楽なので、基本的にはトランスを使いたいです。

RS のトロイダルもありますが、良心的とはいえ結構なお値段がします。
特注で R コアトランスを作ってくれる Phoenix あたりも有名ですが、一個だけだと高く付きますし、HPにある ~20VA クラスでは既に高さオーバーです。
きちんと設計した結果使うならもちろんアリですが、私のように行き当たりばったりで後からちょっと変えよう、とかすると無理が出てきます。
EI コアのものなら安くバリエーションがあるので、サイズそのままで電圧がひとつ上のタイプとか、センタータップ付きのトランスに変えるとか、その気になれば色々できます。

ちなみにその計器用電源ユニットは、色気を出してアナログメータを付けるためエッジワイズタイプのメータを特注したところ、微妙にケースの折り返しに干渉して結局手修正するなど、1Uの製作には苦労が絶えませんでした。

私が余計なことをしたばかりにドツボに嵌っている、蟻地獄を作りながら自分で沈んでいるような気もしますが、そういうのも勉強になりますし「たまには」面白いと思います。たまにはね・・・

余談ですが、協和電気計器は個人で変な対応でもしてくれるので、既成品以外のスケールで変なものがほしい時にお勧めです。
これは、測定電圧を 5V+αとするため、フルスケールを 6V にして、指針を丸針からスベード針に変更し、更に赤色に着色してもらったもので視認性は最高です。
計器用で過渡的な動きを見ないならデジタルの方が良いのでは?という意見も最もですが、そこはほら、漢のロマン!というやつです。

普通のパネルメータで安さという点では西澤電機計器製作所ですが、協和電気計器は変わった形のものが大量にあります。惜しいことに、HPに全然載ってないのですが。

で、2U であれば 88mm から天地のクリアランスをそれぞれ1mmずつ取り、板厚t2として、88-((1+2)*2)=82mm が内寸高さになります。
80mm で探しても安価な EI コアトランスが大量にあり、選り取りみどりです。大げさですが 16V 5A 出力のトランスでも入りますし、センタータップ付きのトランスでも既成品から選べるので、両電源も一個で構成できます。

何より大きいのは、地方の部品屋でも置いてる菅野や豊澄の既成品トランスが使えるので、実物を見て選ぶこともできます。少なくとも、電源には困りません。

六角スペーサ10mm、t1.6 の基板に電解コンデンサの高さ40mm品でも高さに余裕があります。
また、45mm角のパネルメータなど既成品でギリギリ 1U をオーバーするものも使えますし、コネクタやボリューム、ロータリースイッチ等のありがちな部品でも 2U ならそう困らないと思います。
一発目に作ろうとしている真空管のヘッドホンアンプでは出力トランスがありますが、2Uであれば余裕で入ります。

個人的には 1U のコンパクトさも好きで、整然と並んだ 1U はとてもカッコいいです。
たくさん作った時に場所を取らないメリットもあります。
しかし、今回は汎用として主要部材を作っておいて何でも入るようにする、というのが基本的なコンセプトです。
汎用性を持たせつつ、かつあまり大きくないサイズが望ましいことから、EIA 2U を基本サイズとして、1U や 3U 等の他のサイズにも容易に転用できる設計となるよう配慮することにしました。
基本的には縦に伸ばすだけですから、中身があまり重くならなければ天板、底板はそのまま流用できます。
他の部材も、内部重量や材質、板厚の検討は必要なものの、基本的には伸ばすだけで対応できるでしょう。
大きく作っても 3U 、いいところ 4U くらいまでだと思いますし。

EIA 規格について

まず、EIA の19インチラックとした時点で、多くの寸法が決まります。
原書が見られなかったので、わかりやすくまとまっていた日立のサーバーラックの資料から引用します。
ユニットシャーシサイズより、フロントパネルサイズは横幅 482.6mm、高さは 44.45mm の倍数になります。
実際には、寸法は横幅 482mm、高さ 44mm などに丸めたものを多く見ます。

原書を読んでいないのでしっかりしたことは言えませんが、このような主要な寸法が決まっているだけで、あとは特に細かい規定がない、奥行きも規定なしとか聞いたことがあります。
確かに奥行きやその他形状は様々あるように思います。

フロントパネルの寸法は、EIA の規格より決まりますが、本体部分の横幅がいまいちわかりませんでした。
私の印象だと、普通は横幅が430mm前後の印象がありますが、多少広いのもわりと見ます。

これは、どちらかというとラックの制約というより、ラックマウント耳を外した後の横幅が 430mm になるようになってるように思います。
普通のオーディオ機器はそのくらいの横幅です。
というか、このサイズはラックから来たとかいう話を聞いたことがあります。

(ヤマハのヘッドアンプ MLA8 の仕様書より)
胴体部分は 430mm でも、ラックマウント耳の本体側取り付け部分やブラケット、ねじ頭などは 430mm をオーバーしているものが多いように感じます。
たまたま胴体部分まで寸法が載っていた、YAMAHA MLA8 の場合、胴体のカバーは横幅430mm ですが、ラックマウント耳とネジ部分を含めると 439mm になります。

このあたりはラックに入れば良い話で、ラックマウント耳が外れない機器だと、説明書の寸法図面に胴体部分の横幅が記載がないものも多いです。
ぱっと思いついた機器類では TASCAM 122mk2 とか、YAMAHA SPXシリーズでは記載がないようです。

YAMAHA の SPX とか、1U/2U のFM音源類はちょっと広く、手元にあった TX81Zだと440mmでした。
今回は後述するようにラックマウント耳まで一体構造にするので、本体幅が 430mmに拘る必要はありません。
内寸にも影響するので、あまり違和感ない程度まで大きくしていきたいところです。

ラックの方を見てみると、摂津金属工業の FLC シリーズのカタログより調べると、横方向の内寸は 452mm でした。

先ほど同様、日立のサーバーラックの資料を見ると、こちらは 450.8mm です。
結構バラバラです。
他もいくつか見てみましたが、規格品だからか細かな寸法が出ていないところが多いです。

NEC とか富士通とか、自分のところのサーバと組み合わせるようなタイプはそもそも記載がなく、汎用品でも日東工業は記載がありません。
音響関係の方で、K&M のミキサラック 42020 や、小型オープンラック 40900 の説明書やデータシートにも記載がありません。
結論としては、調べの付いた既成品のラックは、概ね 450mm くらいまでのようです。

(摂津金属のHPより))
いろいろ探した結果、摂津金属の HP で ANSI/EIA-310-D に関するページがありました。
これによると、どうやら 450mm(min.) のようです。
ここの規定として、具体的な寸法が入っているのは初めて見ました。

本当は EIA の規格書を読めば良いんですが、どこで見られるのかいまいちわからず、そもそも私の英語能力は脱穀機と争うレベルなので期待できません。
JIS なら規格書の取寄せもできますし、JIS ハンドブックを探せば縮小版があるので何とでもなるんですが。

あの摂津金属が、わざわざ規格の説明をしているページだから多分間違ってないだろうと、今回はこれを信用することにします。

(Mackie CR1604 の説明書より)
ラックの内寸は 450mm(min.) ですが、ぎりぎりすぎると入れにくくなります。
たまたま横にあった YAMAHA TX81Z だと 440mm でしたが、ラックマウントできる 16ch ミキサはもっとぎりぎりだった記憶があります。
データシートに寸法が入っていた Mackie CR1604 だと、ネジ等を含んで 440.4mm でした。
CR1604 だと、クリアランスは左右各 4.8mm くらいとなります。

市販品でこれがあって摂津金属等の EIA ラックに入るので、このくらいが現実的な上限として考えるのが良さそうです。
最も、450mm(min.) を信用するのであれば、ラックに入れやすければもう少し行っても大丈夫でしょう。
ハノイの塔みたく二段階、例えば胴体が 430mm くらいで、ラックマウント耳の付け根だけ 446mm とか。

基本構造の検討

具体的な形状を考えていきます。
奇抜な形状にはしませんので普通の箱形状になりますが、いくつか譲れないものがあります。
まず最初に重要なのはハンドルです。

ラックマウント機器にハンドルが付くと、持ちやすく、ラックに入れやすいため便利です。
つまみやターミナル等、構造部品の高さがハンドルより低い場合、置いた時や角からぶつけた時、構造物を守ることができます。
そして何より、とりあえずカッコいいことです。
それが一番大事、という歌もあることですしハンドルは付けることにします。

フロントパネルはラックマウントの耳部分のみ着脱可能なものがあります。

分離形状にすると、

  • 部品点数が増える
  • 剛性が低下する
  • フロントパネルとラックマウント継ぎ目ができるが、これが美観を損ねる
  • ラックマウントハンドルを所望の位置に持ってくる時の制約になる
  • ラックマウント耳とサイドパネルの結合部分内側の部品配置に制約が出る

のようなデメリットがあります。
部品点数については、個人で板金屋さんに外注する場合、大きな問題になります。
大量に作るのでもなければ、材料費よりも工賃の方が大半を占めます。
部品点数が増えた分の段取りが増えるので、コストアップになってしまいます。

剛性面では、ラックマウントした場合に耳部分は最も負担がかかります。
ここにアングル状の分離耳を付けた場合は考えようによっては意味がありますが、基本的にはこの部位を分割して強度低下となるのは抵抗があります。

美観としては、大分マイナスです。
アングル状の部品を曲げて作った場合、曲げ部の辺は鋭利にならず、外側は R=2t 程度となります。
継ぎ目ができるのは好ましくありませんし、曲げで作ると目立つことが予想されます。
また、曲げた場合は本体正面から見て天地方向に曲げ太りが出ます。
盗み(切り欠き)を設けると天地方向から見た場合窪みができ、角が痛いので多分良くありません。
公差内に入れてもらうためにサンダー等で削ってもらうと、これまた手間が増えます。

ラックマウント耳の位置は、フロントパネルの(見た目の)バランスを整えるのにも重要で、
ちょうど分離部分近辺が望ましい位置と思われます。
耳を分離構造とすると、ラックマウント耳を内外どちらかにシフトすることになります。

ラックマウント耳とサイドパネル間をネジで固定することになると思いますが、内側にネジが飛び出るため、フロントパネル端のスイッチ、ボリューム等に近くなります。
また、ここには重量がかかるので、A5052P だとあまりタップを立てたくありません。
タップを立てる場合はサイドパネルの板厚を上げるか、バーリングするか、キリ穴にして内側にナットを置くパターンがあります。
バーリングすれば内側の配線を傷つける可能性がありますし、ナットは手っ取り早いですが、結局スイッチ、ボリュームが近くなるので作業性が著しく悪くなると思われます。
いっそのこと SPCC の t2.3 あたりにして硬く有効山数を稼ぎつつ、タップのみという手もありますが、重くなるのでSPCC は今回は避けたいです。

従って、ラックマウント耳は分離できない一体型としました。

(タカチのカタログより)
ラックマウントハンドルは、入手性と値段的にタカチ一択ですのでタカチのものから選びます。
タカチのラックマウントケースは、左の BH シリーズが使用されています。
シンプルで見た目も良いのですが、細いのでケースの重量が重くなってくると、持ち上げた時に指が痛いです。

タカチには、単品売りだと右の OH 型もラインナップにあります。
幅が太く持ちやすいと思いますので、今回はこちらを使用します。
横方向に力がかかった場合でも、幅広なのでフロントパネルに対して踏ん張りも効き、飾り金具を付けなくてもフロントパネルに食い込みにくいと思います。

ただし、OH タイプは最小ピッチが 55mm からしかないので 1U では使えません。
OH タイプを使えるのは、2U 以上になります。

ハンドルピッチは、フロントパネルのバランスに非常に影響が大きく、設定が難しいところです。
機器を積み重ねた時、あまりにもハンドルピッチがバラバラだと非常に不細工です。
実物大で図面を書いたり、ボール紙にハンドルを付けてみたりいくつか検討しました。このあたりは机上検討だけでは難しく、やって実物を見ないとわかりにくいところです。

実寸で紙作図したり、ボール紙を切ってハンドルを付けてみたり、既成品にテープでハンドルを付けてみたりと試行錯誤しました。
既成品ケースへの追加工や、自分で設計、加工したケース等でハンドルピッチをいくつか変えて作ってみたこともありますが、結局ハンドルピッチは430mmくらいが一番良いという結論に達しました。

本体部分の横幅 430mm で、かつハンドルピッチが 430mm だとネジの固定部分を避けないといけないので機構上やや難しいのですが、
わざわざ既成品がだいたいそんな感じになっているのは意味があったんだと思われます。

今回設計する 2U やそれ以上のサイズはOH型を使用しますが、今後1Uのケースを作る場合は BH型を使うことを前提に考えます。
後々、様々な事情(作るのが面倒になった等を含む)でタカチ等既成品のケースを使う可能性があるので、このあたりの親和性も考えないといけません。

個人的な好みと、1U でタカチBH型ハンドルを使う場合のピッチを基準とし、これを 430mm としました。
そのまま幅広のタカチ OH型 を使用した場合をどうするかですが、一番簡単なのはハンドルピッチを同じ 430mm とし、左右に膨れるのは無視することです。

今回は、ハンドルを取り付けた状態でケースの外側揃えとし、1U の場合と、2U以上の場合で設計を変えることにしました。
正確には、幅広の OH型と、丸棒の BH型で、ハンドルピッチを変更します。

この場合のデメリットは、OH型は内側に寄るのでフロントパネルのスイッチやツマミ等で使える面積が減ってしまうこと、二種類の設計にすると後々流用する時に間違えやすいことです。
しかし、過去ハンドルを外側に寄せて作ったケースで、ラックケースで奥まった場所に取り付ける場合、ネジを指で支えつつネジ止めするのはやりにくいことがありました。
また、個人的な好みとして、どちらかが綺麗に揃っている方が望ましいこともあり、あえて二種類に分けることにしました。

タカチのラックハンドルは、BH の一部を除き M4ナベ+SW が付属します。
トラスに変えてしまうと幅が厳しくなるので、付属品をそのまま使います。

M4なべの頭部径は 7mm、SW の直径も 7mmです。
M4なべSW+PW付きのセットビスで、PWが小径のものは直径 8mm です。
とりあえず、8mm に 1mm くらいクリアランスを考えても 440mm なので、ラックに問題なく入ることがわかります。
ハンドル関係はこれで行きましょう。

まず材質とネジを決めます。
ネジは、2U でこのくらいの規模であれば M3 で良いので、M3 を使います。
基板の固定も、現実的には全て M3 でしょう。
例外として、バンドタイプのトランス等の重量物が来た場合や、その他やむを得ない場合に M4 等を使います。

ナベを使うのは残念なので、外から見える部分は事情のない限り皿ネジにします。
M3 の皿ネジを使うと、自動的に板厚が t2 以上になります。
正確には、t2 だと僅かに飛び出ることがありますが、重ねあわせたりしない場合は基本的に問題ありません。

基板の固定は、よくあるオネジメネジタイプの六角スペーサを使います。
私は、廣杉計器の黄銅+ニッケルメッキの BSB-E シリーズ、本体ジュラコン+黄銅ニッケルメッキネジの BS-E シリーズを使用しています。
千石電商などに置いてあるのはこれです。

このメネジ側は深さ 6mm(min.) なので、板厚 t2 の場合、ありがちな M3×10 を持ってくると奥まで入りません。
板厚 t2 の場合、安全を見ると M3×6 くらいとなります。

ケースに使うネジも全て M3×6 に統一するのが理想です。
板厚 t2 を2枚結合し、かつ相手側にバーリングがある場合、M3×6 だともう一声欲しいことがあります。
パネルを3枚結合したり、一部部品を SPCC 等に変更して板厚が変わると、M3×6だと役不足になります。
また、本当はダメですが、内側に無理矢理縦ラグを付けたりする場合は M3×10でないと足りません。
そういうこともあって、私は M3×6、M3×10 の二種類を大量在庫していますので、スペーサ部分のみ M3×6、他は後々のため M3×10 を使います。

作業性からいくと、帯磁しているドライバにくっ付く鉄ネジ一択です。
私の好みから、基本的には鉄ニッケルのものを使います。
フロントパネルだけは後述するように黒色なので、目立ちにくいよう鉄三価黒を使います。

強度的には、最低 SPCC t1.6、A5052P t2 あたりが境界だと思います。
オーディオ関係の大半の既成品より厚いですが、曲げや補強がない場合、個人的な感覚としてはこのくらい必要です。
SUS304 はほとんど使わないのですが、タップを立てたり現実的に使いやすいというと、まぁ t1.5 あたりでしょうか。
通常の皿ネジのことを考えると、SPCC であれば t2.3、A5052P であれば t2 になります。

ここで、よくある材質を比較してみます。

材質 メリット デメリット
SPCC
  • めっきか塗装を考慮しても安い
  • A5052P に比べて硬さがあるので、タップを立てても比較的安心
  • 素地だとすぐ錆びるため、めっきか塗装が必須
  • めっきか塗装で導電性がなくなる
  • 重い
  • 硬いため手作業での追加工は現実的ではない
  • 傷や追加工した断面から錆びる
  • 板厚の刻みが A5052P と異なる
SUS304
  • 硬く、傷つきにくい
  • 基本的には錆を考慮する必要がない (正確には錆びる)
  • 硬いので、タップを立てても安心
  • HL材を選んでおけば、素地のままでも見た目も良くなる
  • 高価
  • A5052P よりは多少重い
  • 硬いため手作業での追加工は現実的ではない
A5052P
  • 軽い
  • 基本的には錆を考慮する必要がない (正確には錆びる)
  • 柔らかいので、手作業でも追加工が容易
  • ドリルの他、t2 くらいまでハンドニブラが使える
  • 染色アルマイトで、素地の白っぽいものの他、黒色等が可能
  • 黒ヘアラインアルマイトをかけると美しい
  • SPCC よりは高価
  • 素地だと非常に傷つきやすいため、外側はアルマイト必須
  • アルマイトをかけると、表面の導電性がなくなる
  • 柔らかいので、タップを立てる場合は注意が必要
    頻繁に開け締めしたり、荷重がかかるとネジ山がバカになりやすい

若干偏ってはいますが、ありがちな材料を比較するとこんな感じです。
今回のコンセプトから、自分で後から追加工した場合、断面から錆びてしまうのは困ります。
防錆用にペイントすれば良いのですが、そうするとどんどん汚くなっていきます。
せっかくケースを綺麗に作るんですから、ちょっと残念です。

SUS304 という手もありますが、大げさですし硬いので、正直言って手作業での追加工は適しません。
A5052P であれば基本的に錆は気にしなくて良いですし、工作性良好でとても軽いです。
従って、シャーシ関係は全て A5052P にします。

強度とザグリの都合もあり、基本的には A5052P t2 を使用します。
A5052P だと SPCC に比べて柔らかいので、あまり酷使するとネジ山がバカになってしまいます。
多少でもネジの有効山数を稼ぐため、タップを立てる場所は、すべてバーリングにします。
あとは、後述するようにネジの本数を増やしたり、構造で荷重を分散させやすくして対応します。

アルマイトなしだとすぐに傷だらけになりますが、追加工でアルマイトをかけると結構高くなります。
加工は対応が良く、比較的良心的な値段だった日本プレート精工にお願いしますが、問い合わせたところ t2、t1.5 はアルマイト済の板を在庫しているとのことでした。
A5052P に毛が生えたくらいの値段だったので、シャーシ関係はアルマイト済の板へ加工してもらうことにしました。
アルマイト済としか聞いていないので、正確にはA5052PではなくA1100とかかもしれませんが、特に支障はありません。


アルマイト済の板へ追加工すると、皿もみ部分などの加工部分が素地むき出しになります。
これは、皿ネジの傘部分からネジを経由し、相手側のネジ山へ導通が確保できるのでかえって都合が良いです。
外形の断面だけはどうかとも一瞬考えましたが、断面は擦り傷がついても目立ちにくいと思いますし、断面だけ若干光沢があるとかえって良いアクセントになるかもしれません。

アルマイト済の板はメリットが多いですが、色は通常の白っぽいものになり、黒はありません。
フロントパネルは、後述するように黒色一択です。
フロントパネルが黒で他が銀白色だとツートンカラーになりますが、ラックマウントすればわからないのでそこは気にしないことにします。

ケースの設計

具体的な寸法を入れながら、本体部分の構造を検討します。
内寸と構造、ハンドル位置を考えつつ決める必要があります。
既成品やタカチのケースあたりだと、サイドパネルやリアパネルが下駄状になっていたり、
結合部にチャンネルの構造物を持ってきて結合しているものを良く見ます。
この場合、天板、底板は平板のことが多いようです。

奥沢の場合、サイドパネル、天板、底板、リアパネル全てに曲げがあります。
Urei/JBL の古いパワーアンプ等だと、Cチャンネルを曲げてサイドパネル両面、リアパネルの3面が一体構造のものもあります。

このあたりは設計思想により変わる部分です。
今回の場合、追加工が容易なことが前提でしたので、その点を考慮しないといけません。
また、今回は押出材は当然使えず、まさかこれだけのためにフライス削りだしなんてするわけにはいかないので、下駄状の部品は使えません。
曲げのみで構成する必要があります。

Urei/JBL のような一体構造の場合、部品数自体は減りますが追加工の加工性が悪いです。
また、私の用途として長い目で見た場合の汎用性を考えると、リアパネルは分離できることが望ましいと考えます。
仮にリアパネルを作り替えたくなった場合、恐らく手を加えないであろうサイドパネルまで交換することになり経済的に宜しくないです。
従って、リアパネルは単体部品にします。

天板、底板は追加工や作り変えが最も多くなる部位と想像できます。
例えば、基板追加となればネジ穴が追加になります。
また、ケースを他の用途に転用する場合、底板のみごっそり作り替えたとしても、サイドパネルに手を加えることはそうないでしょう。
リアパネル、天板、フロントパネルは流用できる可能性が高いです。
従って、天板、底板も単体部品としますが、曲げ加工があると後々の工賃に響きます。
追加工の容易さの観点からも、ここは平板が良いでしょう。

サイドパネルは左右一体でも良いのですが、天板、底板を単体部品としたため左右一体構造はできません。
従って、サイドパネルも単体部品とします。
ただし、左右別々とすると部品種類が増えますし、別々にする意味もないため、左右共用部品として設計します。

天板、底板を平板にしたので、サイドパネルと天板及び底板の結合はサイドパネルで行う必要があります。
リアパネルの結合も天板、底板、サイドパネルへ行うことになります。
フロントパネルへの結合も必要ですが、これはサイドパネルは必須です。

フロントパネルは平板です。
サイドパネルをフロントパネルに結合する場合、直角に結合となりますのでサイドパネル側に曲げが必要です。
天板、底板に曲げはなく、リアパネル側にトランス等の重量物を置いた場合、サイドパネルがCチャンネルや箱状となることで剛性を持たせます。

フロントパネルの結合部に荷重がかかりますが、フロントパネル~サイドパネルの結合部をアングル状とすることで、
剛性アップ、サイドから見た場合に平行四辺形状に歪むことを防ぐ等の多大なメリットがあります。
また、サイドパネルを箱状にすることで、リアパネルとの結合が容易になります。

ラックマウントハンドルは先ほど決めたとおりですが、これによりサイドパネルに影響が出ます。
問題はサイドパネルを、升のような一面が空いている箱にしてしまうと、胴体部分の横幅が大きくなることです。

先ほど、ハンドルピッチを決めましたが、このネジを含めた横幅が 438mm でした。
余裕を見て、ネジの頭部からサイドパネル間のクリアランス1mm とし、板厚 t2 としたとします。
更に内側の曲げR分、少なくとも(1/2)tは逃げないといけません。
また、後述するように天板、底板がサイドパネルより各2mmはみ出すようにすることを考えると、
438+(2*(1+2+(1/2*2)+2))=450mm で、ラックの有効内寸 450mm(min.) に当たってしまうのでダメです。

ハンドルはフロントパネルに固定するだけにして、天板、底板、サイドパネルをハンドルより内側にするのもひとつの手ですが、内寸が大分小さくなってしまいます。
ハンドルには重量がかかるため、ことさらにフロントパネルとサイドパネルの結合部を内側に寄せるのは、剛性面でも良くありません。
やはり、ハンドルはフロントパネル、サイドパネルを挟んで共締めするのも都合が良いでしょう。

そのあたりを踏まえ、サイドパネルは、天、地、リアを内側に曲げ、フロント側のみ外側に曲げることにしました。
こうすることで、ハンドルをフロントパネル、サイドパネルに共締めしつつ、できるだけ内寸が大きく取れます。

このバーリング穴は公差が蓄積されると困るので、直列寸法ではなく並列寸法にすべきですが、検討段階だったためしていません。
蓄積公差については、他の部品も同じです。
・・・直すの面倒で、全部品検討段階の図面を出して頼んじゃいましたが。まぁNCのようなのでそうずれないでしょう。

上下対象にしてあるので、左右共通部品です。
天地をひっくり返すと反対側に使えます。
この部品でケースの奥行きが決まりますが、これは天板、底板のところから決めました。
フロント側に切り欠いた部分がありますが、最終的にはこのように各部品が結合されます。
フロントパネルとの結合部分がアングル状に補強されるので、フロントパネルのねじれに対する補強になります。
また、ラックマウントした際に中身、特にリア側が重くなると、ラックマウント耳のフロント側はテコのように荷重がかかりますが、これをうまいこと分散することが期待できます。

ネジの本数がやたら多く見えますが、これは

  • サイドパネルが A5052P でバーリングしているので、ネジ1本あたりの荷重を分散したい
  • どこからでも分解でき、一部を外せるようにするため、角は2個あると平行四辺形状に変形しにくい
  • 内部に仕切り板や補強板を入れることを想定しており、既存のネジに揃えて一列ネジを追加してもあまり違和感がない
  • 上から見て、外周の列のネジ本数は奇数の方が美しい
  • センターラインにはネジが絶対必要
  • メーター等が鑑賞する等、数カ所減らしても強度が極力落ちないようにする

など、様々な理由がありこの本数になっています。

ここで言う仕切り板、補強板は、縦横いろいろと入れたりできるように考えています。
EIコアの電源トランスでよくある 1kg クラスの電源トランスを2個積む等、底板がたわんでしまうような場合の補強ができます。
A5052P だと磁束は抜けてしまいますが、SPCC にして磁気シールドとして使えるかもしれません。

また、1U でタムラのライントランスを使いたいとか、真空管を使いたい等、部品をまとめて横に実装する場合、Cチャンネルを一本入れて取り付けのベースとして使うことも考えられます。Cチャンネルにしておけば、ケースの中央を押しても凹まない、たわみにくい等、ケース強度も上がります。

また、単純な仕切り板としても使えます。
天板、底板に放熱穴を空け、発熱する区画を区切っておけば、熱に弱い部分を緩やかながら分離できます。
ラックマウントする場合は、当然ながら上下 1U 以上開けておかないとうまく機能しませんが。

仕切り板に穴を開けて TO-220 の三端子レギュレータや TO-220/TO-3P 等のトランジスタ等を取り付け、簡単なヒートシンク代わりにすることもできそうです。
この仕切り板は縦方向についていますが、もちろん横に入れることもできます。
天板、底板は穴あけが必要ですが、自分でやるのは難しいバーリング入のサイドパネル、リアパネル等は全て使い回しが可能です。

ネジが少なかったりヤワなのは困りますが、ガッチリしている分には安心です。
加工賃のコストアップといっても、多少加工箇所が増えるくらいであれば基本工賃(段取り)の方が高いです。
むしろ、天板、底板は完全共用にして、何も変更せずに使いまわせる方がメリットでしょう。
同じものを多く加工した方が、当然ながら安くなります。
部材としては、よく使う皿ネジM3×10あたりは箱で買っていますから 1本1円以下で、ほとんど変わりません。
強引な考え方をすれば、実質ネジ締めの手間が少し増えるだけです。

フロントパネル、サイドパネルの結合部を、リアから見たところです。

ハンドルに付属するのはM4ナベ+SW の頭部径 7mm ですが、先に挙げたようにSW+PW 付きのセットビスにすると PW が 8mm になります。
青色がラックハンドルの固定ネジですが、8mm で作図してあります。
サイドパネルは、A5052P t2 として考えているので、内側の曲げR は最小 1mmとして考えます。

今回は、ネジ、曲げR に余裕を見て 3mm 空けることにしました。
ドライバーがサイドパネルに干渉するかもしれないので、このくらいの余裕は最低限欲しいところでしょう。
3mm あれば、仮に頭部径9.4mm のM4トラスを持ってきても大丈夫ですし、なべのSW+PW付きのまま、SPCC t2.3 にしても対応できます。

次に、サイドパネルでネジと共締めしている羽根部分をどこまで伸ばすかですが、個人的なカンとキリの良いところで16mm にしました。
ここを伸ばすとラックに収めた時干渉してしまいますし正直何もならない場所ですが、曲げ部品なので、ここを短くし過ぎると板金屋さんで曲げられなくなります。
どうしてもやってくれ、と言えば、長くしておいて折ってから詰めるとか方法もあるでしょうが、正直言って現実的ではありません。
私の感覚的には、16mm あれば A5052 t2 であればOKで、SPCC t2.3 でも多分OKと思います。
サイドパネルにそれ以上の板厚が必要なほど荷重がかかるのであれば、本体ごと設計をやり直すレベルなので、それ以上は考えていません。

これで、フロントパネルを除いた横幅が決まります。
サイドパネルとフロントパネルを結合している部分、羽根の先端から先端まで443mm(typ.) です。
加工公差は中級の予定ですので、天板、底板とサイドパネル結合部分のピッチ公差は±0.8mm です。
サイドパネルは±0.3mm ですが理論値で、組み上げた時の蓄積公差はとりあえず考えていません。

Mackie CR1604 の 440.4mm よりは 3mm弱 typ. で大きいですが、ラック内寸の450mm(min.) からするとまだ余裕があります。
ラック内寸ギリギリだとラックに入れにくくなりますが、443mm なのはこの部分だけです。
天板、底板の胴体部分はこれより狭くなるので、実使用上は問題ないと思います。

ケース内側へ曲がる3面の曲げしろも、余裕を見る必要があります。
箱形状なので曲げ爪のこともありますし、プレスで抜いてから曲げ加工すると思いますが、板厚が増えてくると曲げに近い穴が伸びるように変形します。
もっとも、そのへんはノウハウがあるようですが。

ちょっとだけ悩みましたが、結局外側と同じ 16mmとしました。
三面バーリングでネジ留めになり、キリ穴で逃げられないので、本来はネジ穴が有利になるように原点付けすべきとは思いますが、糞作図のためそこまでしてません。
一箇所記入漏れしたのが変なところにありますが・・・。

ラックハンドルをリアパネルにも設け、レセプタクル等の破損を防ぎつつ、持ち運びやすくします。
もちろん、カッコいいのも忘れてはいけません。
ハンドル側はタップが立ててありますので、当然ながらここはキリ穴にします。

組立中にリアパネルが遊ぶのは作業性が悪くなる可能性があり、天板、底板を取ってもとりあえず仮止めできるように、リア側にも一箇所バーリングします。
ハンドル間にしておけば、真裏から見た時にこのネジが隠れて見えなくなります。

ここで、本体胴体部分の高さも決まります。
2U の高さは 88mm で、フロントパネルは 88mm として設計します。
胴体部分は、天板、サイドパネル、底板の3つの部品が組み合わさるので、積み上げ公差が発生します。
88mm をオーバーするのはダメですから、ある程度マイナス方向に作ります。
皿ネジの頭が出たり、追加工で何か下手を打った場合の対策にもなります。

問題は余裕を取り過ぎると、内寸が減ってしまうことです。
0.5mm だと少ないと思いましたので、キリの良いところで天地各1mm 余裕を取ることにしました。
1mm あれば、ラックマウントせずに使う場合、適当なコルクシートやゴムを貼り付ける余地も生まれます。
後々 SPCC t2.3 にしても、他の設計をそのまま流用できます。
今回の天板、底板は A5052P t2 と決めていましたので、サイドパネルの高さは 88-((1+2)*2)=82mmとなります。
従って、有効内寸も 82mm 弱と見込めます。

次にリアパネルですが、サイドパネルに対しては平板のまま結合になります。
天板、底板との結合については、リアパネルでしなければいけないので、Cチャンネル状に曲げて結合します。
ハンドルはここもキリ穴で、サイドパネルと共締めします。
サイドパネルとの結合補助用のネジは、ハンドルで隠れるとはいえ皿ネジを使いますので、皿モミします。

(ねじの記号が変なのは、部品が重なっているためです)
サイドパネルとリアパネルにはそれぞれ羽根部分があります。

ぎりぎりだと、組み立てるときに入れにくかったり、最悪干渉する可能性があります。
感覚としては、各 2mm 空いていれば絶対安心ですので、2.5mm くらいになるようにしました。
小数点以下の半端な数字は、リアパネルの羽根部分(図中左側)の長さをキリの良い370mm にしたためです。

次に天板、底版です。
これは、過去に奥沢の弁当箱ケースを使用して作ったものですが、天板の角が鋭利です。
配線を直す時に機器の角に手をついたり、偶然肘等を引っ掛けた時、非常に痛い思いをします。
また、赤丸のように微妙にサイズが異なり、中途半端な段差ができているとダサいです。

放置するのは戴けないので、対策を盛り込みます。

角が痛いところは、要は直角でなければ良いわけです。
一番良いのは R を付けてしまうことですが、形状から丸っこい印象を受けます。
私は角ばったデザインの方が好きで、カクカクしたデザインにしているだけに統一感がなくなるのは残念です。
フロントパネルは、様々な理由からRにしていますが。

いろいろと考えましたが、斜め45°カットにすると直角に比べて格段に改善できそうな気がします。
天面から見た図ですが、天板を C2 で落とし、リアパネルを C面取りの最下部まで引っ込ませます。
こうすると、天板、底板だけでなく、リアパネルの角も刺さらないようになります。

引っ込ませるのは、リアパネルやサイドパネルの外側の曲げRを隠す効果もあり、一石二鳥です。
また、公差内でも天板と本体が微妙にズレると不細工ですが、デザイン上わざとずらしてしまうことで多少ズレても気づきにくいです。
ということで、リアパネルとサイドパネルは内側に引っ込ませることにします。
ただし、引っ込ませすぎると本体質量が重くなった時、持ち上げると手のひらに食い込んで痛くなることが予想できるので、やり過ぎはダメです。
その辺りも鑑み、2mm引っ込ませるくらいがベストだと思います。

リアパネルについては、横側の外形寸法だけはデザイン上と、わざとずらして組立後のずれを目立たせなくするために引っ込ませませんが、天板よりはみ出すとまずいです。
ここは、天板より最大 0.4mm 内側となるように指定します。

ちなみにこれが完成品ですが、思惑通り角に思い切り手をついても全く痛くなく、言うことがないほどバッチリでした。
真横から見なければリアパネル、サイドパネルの曲げR や、曲げ太りの盗み、曲げ合わせのスリットがいい感じに隠れてくれるので、見た目でも大変良い感じです。

45°でも見た目は結局痛そうに思えますが、シャーリング(というかプレス)で抜いた時のダレが上手いこと作用してくれるようで、エッジが丸みを帯びてくれます。
そうなることで、断面(板厚側)の頂点の鋭利な部分も小さくなり、良い感じになるようです。

ということで、天板、底板はこんな感じです。
サイドパネルと同じく、天地共通部品です。
天板を天地ひっくり返すと底板になります。

ケースの奥行きは、ほとんど天板と底板で決まります。
何でも入るようにする汎用ケース、とするならとりあえず大きいほうがベストといえばベストです。
他の機器との兼ね合いからいくと、でかすぎても小さすぎてもケースを積み重ねた時に座りが悪くなります。
奥行きを大きくし過ぎると、場合によっては工賃に響きます。

  • EI コアで 30VA クラス (W90×D70×H60) あたりの、ありがちなトランスを1~2個使えるように
  • トランスから基板は離したり、シールド板が入るくらいに余裕を持ちたい
  • いつも使っている ALPS RK27 で、4連でも使えるように
  • ロータリースイッチで2段以上のものも使えるように
  • ターミナル、インレット等から基板までは余裕を持ちたい
  • MT9P あたりの真空管と出力トランスを入れて、放熱スペースを稼ぎつつ基板のスペースを確保する
  • 海外の基板屋さんで安い 10×10 とか、よくあるサイズの基板が入るようにしたい
  • 後からいじる時、ギリギリいっぱいに入っているのは手を入れにくいし、放熱にも良くない

等で、奥行きは悩ましいです。
高さ方向は、3U にすれば難なく伸ばせますが、天板、底板は共用したいので後々極力変えたくありません。
この寸法取りで、今後の方針が決まると言っても過言ではありません。

箇条書きにしたあたりを鑑み、私のカンだとキリの良いところで 250mm くらいがベストな気がします。
が、こればっかりは頭のなかで考えるのと CAD 上でやるのはあまり変わりません。
実物を見たほうが、直感でイケるかどうか一発でわかります。

悩んでいたところ、PC の脇にあった YAMAHA TX81Z がだいたい 250mm くらいの奥行きでした。
ぱっと見、直感でこれはイケるだろうと思いましたので、250mm にすることにしました。
見た目でもちょうど良く、これに 50mm 足して 300mm だとちょっと大きい感があります。
試しにトランスを置いてみたりしましたが、特に問題なさそうです。
こういう時こそ直感が大事ですので、ここは 250mm しかありません。

これで奥行きは、フロントパネルの板厚+天板の奥行き+α(ハンドル等) となりました。
奥行きを決める方法は2通りあって、今回のように積み上げの合計を出す方法と、
全部ひっくるめた奥行きをキリの良い数字にして、それから天板等の各部品を決めていく方法があります。
後者の場合、恐らくキリの悪い数字になるので、他の部品との組み合わせの時に間違える可能性があります。
部品単位の外寸が全部変な数字なのは気持ち悪いので、今回は前者の方法で設計します。
天板 250mm を優先として、組み上がった状態の寸法は出たとこ勝負にします。

部品固定用の穴まで開けて貰う場合、図面に追記しての別部品になりますが、
同じ部材への追記なので、NC の場合は流用してもらえる可能性があります。

次にフロントパネルですが、完全に表に出る平板と、Cチャンネル状の補強材の2部品に分かれます。
私としては、フロントパネル側もこの手の補強材が絶対必要だと思っています。

  • 上に物を載せたり手をついたりした時、天板中央ならまだしも、構造物のあるフロントパネル側がしなるのは良くない
  • 構造として、一番過酷なフロントパネル側こそ強固にするべき
  • 四辺とも固定することで、平行四辺形状の歪みへの耐性ができ、強くなる
  • 荷重の分散になる
  • スイッチやジャックの抜き差しで、フロントパネルがベコベコしなるのは感触面で良くない

等の理由から、Cチャンネル状の補強材を入れます。
フロントパネルの上下を曲げてCチャンネル状にする手もありますが、

  • 曲げが外から見えて美しくない
  • 高さ方向の有効内寸が減る
  • フロントパネルは板厚があるため、曲げRが大きくなる

ため、今回はほとんど検討もせず却下しました。
部材が減るほうが安く上がりますが、これはやむを得ません。
最も、既成品のように下駄状に一体成型した押出材が使えればフロントパネル一枚で済みますが。

ただし、フロントパネルにスイッチやボリュームをモリモリつけていった場合、補強材にも穴あけがいるので手間はかかります。
L型のアングルを2個とするのもありです。
また、Cチャンネル状で、ネジ止めするところ意外をプレスで大きく抜いてもらう手もありますが、
プレス回数は増えるし、大穴の肉抜きしたものを曲げるのはやや難しいと思いますので、それはそれで高く付きそうです。
とりあえずは、Cチャンネル状として考えます。
考えようによっては、フロントパネルが二重になるので、スイッチやボリュームのつまみを落としこみにしたりすることもできそうです。

せめてもの救いとして、このフロントパネル補強材は A5052P 無垢とするのが良いでしょう。
フロントパネルを A5052P 黒アルマイトや、SPCC 黒艶消し焼付塗装にすると導通がなくなりますが、
内側の補強材を A5052P 無垢としておけば、内側を削る等の一手間かけなくてもボリューム等にシャーシアースが取れます。

フロント補強材とサイドパネルのクリアランスは、リアパネルと同じく 2mm 以上欲しいところです。
ボリュームやスイッチ等をフロントパネルに付けた時、図中右下の角が隠れてしまい、配線が見えなかったり作業性が悪くなる可能性があります。
従って、横方向は 2mm としましたが、奥行き方向は 5mm にしました。

フロントパネル自体は、ただの平板です。
美観や本体部分の内寸から行くと、曲げのない平板がベストだろうという結論に達しました。

フロントパネルの外寸は規格で決まっていますので、特に考えることはありません。
実際には、ギリギリでなく若干小さめにするものが多いです。
今回は、既成品に合わせて幅 482.6mm、高さ 88mm にしました。

フロントパネルの板厚は、個人的な感覚から t3 以上欲しいところです。
SPCC t3.2 か A5052P t3 あたりですが、女性のパンツは白、機械の表面は黒でここは譲れません。
インレタを入れた時、黒地に白文字が一番視認性も良いこともありますし、フロントパネルは断然黒色です。
2U くらいで、中身がこれくらいの重量、このくらいの奥行きであればアルミでも大丈夫だと思いますし、サイドパネルをアングル状に折って耳部分を補強するので、A5052P t3 にします。
仕上げはヘアライン黒アルマイトで決まりでしょう!

フロントパネルの内側を基準として面一になっていますので、フロントパネル自体の板厚は自由に変えることができます。
若干でもコストを下げたい場合に SPCC t3.2 の黒艶消し焼付塗装にしたり、強度アップのために板厚を増した場合でも内部構造に影響しません。

フロントパネルの補強材と組み合わせるとこうなります。
フロントパネルと補強材の結合には、フロントパネルの色に合わせた皿ネジを使用します。

黒地に黒色のネジであれば比較的目立ちにくいものの、あまりネジの本数を増やすと美観に影響します。
整然と規則正しく並んでいれば、若干カッコ悪さが薄れ、ゴツくカッコいい印象になりますが加減が難しいです。

荷重の分散もさることながら、スイッチやジャックの抜き差しでフロントパネルがベコベコしなるのは感触面で良くない、という点からいくと、横方向は左右端と中央、天地方向は天地の端が必須です。
ないと思いますが、補強材に天地から力をかけて行って歪んだり、公差内でも歪が出た場合、補強材中央が浮いてしまうのは良くありません。
そうすると、天地方向でも中央に欲しくなります。
フロントパネルど真ん中はさすがにあり得ないので除外するとして、左右については天地方向の中央も入れました。

ラックマウント用の長丸穴の内側にあるキリ穴は、ラックハンドルとサイドパネル結合用です。

これで、ケースの設計ができました。

標準部品選定

毎回必ず付いているような部品があります。
例えば、

  • ACインレット
  • ヒューズホルダ
  • 電源スイッチ
  • パイロットランプ (電源LED)

あたりです。
この手の穴は、最初から穴あけしておくと便利です。

見た目や作りが良く、安いものがあれば標準部品として決めてしまい、一種類を在庫するようにすれば何かと捗ります。

以前は、秋月でフィルタ付きのACインレットが購入でき、150円と安価だったので何も考えず全部これを使っていました。
もう扱いがありませんので、ごく普通のインレットから選択します。
ただし、このインレットはいくつか手持ちがありますので、後々使えるようにします。

よくあるACインレットは、だいたいEDKとニコオンのものです。
左がEDKのAC-P01、右がニコオンのNC-174です。
端子形状やネジ穴、裏付け表付けののバリエーション違いはありますが、地方でも入手容易で概ね100~200円と安価です。
私は、右のニコオンのシリーズを使っています。

この二種類は値段はほぼ一緒ですが、材質が違います。
EDK の AC-P01 は光沢を帯びていて、やわらかめのプラスチックです。曲げると白くなるような感触の材質に近い感じです。
対して、ニコオンの NC-174 は、ぱっと見ガラス繊維入り樹脂っぽい見た目で硬く、叩くとカーンみたいな音がするタイプです。感触的には、硬く曲がらないが無理をすると曲がる前に折れるような感じの樹脂です。

コンタクトは、エッジにダレっぽいのが残っているEDKに対し、ニコオンの方はエッジまで綺麗に丸く作ってあり好印象です。

認証済のマークが大量にありますが、ニコオンの方が多くの規格に通っているようです。

ニコオンの方は樹脂が硬いためか、金型の継ぎ目がはっきり見えるので見た目は少々悪いですが、
作りとしてはニコオンの方が良いと思いますので、この二種類であればニコオンをお勧めします。

ニコオンの中でも種類がいくつかあります。
裏付け、表付けは見た目的にパネル裏から固定します。
端子形状は、ハンダ端子やファストン端子用などがありますが、ハンダ付けはどれもできるのでひとまず置いておきます。

固定方法は皿ネジ用、なべネジ用、インサートナットタイプがありますが、パネル裏の場合どれでも使えます。
一番楽なのはインサートナットタイプですが、市販品でここにヒビが入っているものを見たことがあり、少々嫌な感じがあります。
手持ちで大量に持つ場合、種類が増えると困るので、表付けにして皿ネジ使用もでき、裏付けでも使える中央の皿ネジタイプを使っています。
今回は、これを使用することを前提に設計します。

ヒューズホルダは、美観に優れ使いやすいサトーパーツの F-95 シリーズを使用します。
見た目という点では、今のところこれ以上のものはないと思います。

私の場合、いろんな修理をしていた関係で30mmの標準ヒューズはひと通り揃えており、ファストブローの他、スローブローとか消炎剤入りのものとか、いろいろあります。
逆にミゼットヒューズは殆ど持っていないので、標準ヒューズにしました。

スイッチは色々種類がありますが、ここはやはりロッカスイッチでしょう。
日本開閉器の JWシリーズを愛用していますので、これを使用します。
右が、JW-M シリーズで、I/Oの表示があるものもありますが、ダサいので無刻印のものを使っています。

このスイッチは、ガタが非常に少なく、ガッチリした操作感とバチッと軽快な音が出て、素晴らしい感触のスイッチです。
最近、フジソクから同一寸法のコンパチ品が出ており、印刷のON/OFF表示がシンプルだったので買ってはみたものの感触が微妙でした。
日本開閉器は中立位置は存在しないかの如くバチッと切り替わりますが、フジソクは軽すぎでふにゃふにゃ、ON/OFFの感触も頼りないです。

左がフジソクの SLA215K-5(単極単投) 、右が日本開閉器の JW-M22RKK(二極双投)
です。
フジソクの方はケース自体の遊びが大きい感じです。
素材はどちらもプラスチックですが、日本開閉器の方が粘るタイプです。

フジソクは 125V/15A、日本開閉器は 125V/10A で定格上はフジソクの方が上です。
接触子自体はフジソクの方がゴツいですが、構造は日本開閉器の方がしっかりしています。
JW-M シリーズは TV-5 対応なので、データシート上は突入78A 対応のようです。

フジソクは接触子自体は1.5倍くらいゴツくて一見良いんですが、可動側の付け根(L字)部分は接触して乗っている(擦っている)だけで、バネとかはありません。
日本開閉器はシーソーのような接触子が一体になっており、操作側の押しバネで勢い良く引きつけ、引き剥がしするような構造になっています。
肉厚が大きく、防塵として操作部分が二重箱のようになっていたり、端子の付け根がシーリングされていたりと、作りは日本開閉器の方が上でしょう。
やはり、日本開閉器の JW-M シリーズで行くことにします。

無刻印なので、POWER LED は 3mm の黄緑色 LED を別途付けます。
ちょうど良いところにフロントパネルの補強材の固定ネジがいますので、LED左上のネジに縦ラグを寄生させて、LEDの足を縦ラグにハンダ付けします。
LED自体は、内側にカゴメ傷を付けて、エポキシか何かで固定します。

ラグ上に電流制限抵抗も付けられますし、ぶつけたり指でLEDを押し込んでしまった場合でも、LEDが脱落してシャーシに短絡することを防げます。
タップを立てた場所に、裏からナットで締めるのは基本的には禁忌です。
今回は荷重がかかりませんし、公差の関係ない共締めなので目を瞑ることにしましょう。

スイッチの上にPOWERの文字が入れてあります。
シルクは現実的ではないので、インレタを入れようと思っています。
少量で消えにくいもの、というとレーザーでアルマイトを剥がす方法があるらしいですが、とりあえずは考えていません。
以前、ミキサの試作でいろいろ探したところIllustratorのデータからインレタを特注で作れることがわかりました。
HPを見て良さそうだったのがアドマです。

良心的な値段とはいえ版下がいるので、ある程度機器が増えてきてから出してみようかと思っています。
書体はHelveticaでは残念なので、Avenirあたりがデザイン的に美しいです。

1U にした場合、スイッチ自体は入りますが LED を付けるのにいい場所がありません。
また、図中の赤色文字のようにインレタを入れた場合にスイッチが入らなくなるので、JW-M は使えません。
日本開閉器の JW シリーズは S/M/L の三種類あり、JW-S のみ照光式がありますので、1Uの時だけは、JW-S の照光タイプを使用します。

これが JW-S タイプですが、デザイン性もなかなか良いです。全面照光だとダサいですが、バー状のLEDなので結構良いアクセントになりそうです。
LED 色は、赤、緑、黄色から選択できます。1U ケースに使うなら緑でしょう。

以前、実験用の1U電源に JW-S の照光タイプを使いました。JW-M サイズほどのバチン音はしませんが、サイズの割に良好な操作性でした。
感触面でも悪くありませんし、とりあえずこれで間違いないでしょう。

ただし、照光ありは単極単投しかないので、電源ラインの両切りはできなくなります。
(日本開閉器HPより)

レセプタクルは、私は Neutrik 派です。
XLR、RCA、標準TRS、BNC の他、USB や Ether とかまで同じ穴で付け替えができます。
DLX シリーズの穴を開けておいても良いと思います。
(Neutrik データシートより)

あと、穴あけが面倒くさいものにターミナルがあります。
入手容易なターミナルは、だいたいサトーパーツが8割くらいな印象があります。
ケースでここまでしておいて陸軍端子はちょっと残念な感がありますので、ジョンソン端子っぽいターミナルで使い勝手良く、カッコいいのを選びたいところです。
そしてあまり高くないとなお良いです。

(サトーパーツHPより)
ひとつ問題なのは回り止めです。
これはサトーパーツの T-6530 ですが、取り付け穴が丸穴一発で回り止めがありません。
自分で適当に穴あけしても使えるので、そういう面では便利ですが。
トグルスイッチのような上下させるものならまだしも、ターミナルはきつく回転させるものなので、個人的には回り止めがないものは論外だと思っています。

従って、回り止めがないものは除外します。
固定ネジのオネジ側がプラスチックのものも除外していきます。

(サトーパーツHPより)
ひとつ気をつけないといけないのが、たまに回り止めが飾りのものがあります。
平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプ 4Uラックマウント型の製作で使ったT-3830 は一見回り止めがあって良さそうですが、実はあまり機能していません。

フェノールの台座に回り止めのキーはありますが、そのキーのある部品と軸は特に何もありません。
締め付けた後の摩擦だけで、軸自体は遊んでいるので結局緩んできます。
HP にあるような図面だとここまではわからないので、結局当たりをつけてから実物を見るしかありません。
もっとも、今回の 2U にはこれはでかすぎるので除外していますが。

さんざん探しまわった結論として、ターミナルはミヤマ電器の MT-123 が良いでしょう。
色違いが揃い、小型、安価、入手容易で、バナナ対応で、回り止めがあって使い勝手が良いものを探してこれに行き着きました。
固定ネジ、つまみのネジ部分が金属製なのでしっかり締まります。バナナが使えて、つまみが完全に外れるのでワニ口も使用でき、測定用としてもバッチリです。

回り止めは、軸と台座間は切り欠き、台座とケース間は二箇所の突起で留まるのでしっかりしており、空回りしません。
大須等の地方でも置いてあるので入手性が良く、地方でも160円~250円くらいと作りの割に安価です。

定格がよくわからないのですが、サトー電気では参考 30A になっているようです。サトーパーツの 30A タイプと比べるとちょっと見劣りはしますが、少なくともサトーパーツの 10A クラスよりは流せそうに見えます。
何れにしても、スピーカー用途やテスト端子、簡単な電源の引き出しくらいには申し分ない作りです。

他には、ボリュームやロータリースイッチ等の部品があります。
私が使うとすると、このサイズであればボリュームは ALPS RK27 シリーズ一択です。
ロータリースイッチは、愛用していた ALPS SRRN シリーズは廃盤ですし、岩通も軒並み廃盤になりました。
代わりに見つけたのが東京測定機材の RS-500N シリーズで、最近はこれを良く使っています。

そのあたりになると機器ごとに合わせて数量が決まっていくので、前もって加工しておくのは難しいと思います。
汎用ケースの設計としては、ここまででしょう。

まとめ

EIA 2U の汎用ケースを設計しました。
サイドパネルと天板は、中身をいじっても変更なしでいけます。
当然ながら、多く作ると安くなりますから、多めに作ってもらって在庫しておけば一個あたりの値段が安くなります。
加工の面倒なフロントやリアだけは、二パターンくらい作っておいても良いでしょう。

最初は高くつくと思いますが、後々ケースの一部を入れ替えて残りを全部使いまわしたりできますので、トータルで見ると徐々に値段は安くなっていくと思います。
何より、毎回ケースをどうしようか悩む必要がなく、ようやく中身に集中できるかなと期待しています。
とりあえずはいくつか試作してみて、感触を探りつつ始めたいと思います。

構造を流用すればいろいろ汎用的に使えると思いますので、図面を公開予定です。
尤も、一個作るくらいだと高く付くので図面がほしい人なんてほとんどいないと思いますが、しばらくお待ちください。

備考(部品名について)

部品名がサイドパネル、天板のように英語と日本語が混ざっています。
英語にするなら天板はトップカバー、サイドパネルを日本語にする場合は側板になります。
今回は、所見でも直感的にわかりやすいように、

  • 天面: 天板
  • 底面: 底板
  • 側面: サイドカバー
  • 正面: フロントパネル
  • 背面: リアパネル

として記載しています。

コメント(0件)

コメントを残す




日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

トラックバック(0件)

トラックバックURL