ぺるけさんの真空管式ミニワッター用 EIA 2U ラックマウントケースの設計

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はじめに

汎用 EIA 2U ラックケースの設計で設計した構造をベースに、ぺるけさん発表のミニワッターの回路を使用した

  • 平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型 (製作記事
  • 平衡型6DJ8全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型 (製作記事

の製作のためのケースを設計しました。
設計編だけで大ボリュームになってしまったので、記事を分割しています。
本稿はケースの設計編です。

自分で言ってれば世話はないですが、我ながらなかなか格好良く仕上がり、心をくすぐる出来になりました。
デザインはリテイクなく試作一発でばっちり決まりましたが、構想段階でいろいろ考えてこの形になっています。
機械好きからしたら設計過程も結構面白いかもしれない、ということで、構想~設計段階のあれこれをまとめてみました。

例によって力尽きたせいで製作記事から時間が経っていますが、


の基本設計がほぼ同時並行しています。
4U の方は設計中に既に少々やり過ぎだと思っていたことと、製図してそのまま板金屋さんに出したのでまともに見返しておらず、致命的なものはないものの色々とミスが多かったのが反省点です。

2U の方は、当初はぺるけさんのミニワッターを入れようかな程度だったのですが、4Uを加工した直後にぺるけさんのHPで6N6Pのパワーアップ版が発表されたので、これを 2U に入れることを決定しました。
(ケースチェックあたりで平衡入出力タイプが発表されたので、最終的には平衡入出力仕様で作りましたが)
幸いにも 2U の基本設計自体はだいたい終わっていたので、比較的デザイン面まで考える余裕がありました。
4U でやり過ぎたところを見直し、デザイン面でもより練ったのが今回設計したケースになります。

頭の中で考える時間は二週間くらい取ったものの、年末の仕事納め直前になり、板金屋さんの年内締切(12/15)の都合で一晩徹夜して設計・製図して出したので、結局やってることは変わらないような気もしますが・・・。
何かが舞い降りていたのか奇跡的にミスなく完成した、多分もう一度出来ない奇跡的な作品です。

ケースの方向性決め

ケースを作るにあたって、まずざっくりどんな感じするか決めました。

  • 設計途中だった EIA 2U ケースに入れる
  • トランスや真空管もすべてケース内に入れる

たった2点ですが、これは舵取りする上で非常に重要です。

放熱を優先して真空管だけ外に出す手とかもありますが、私の部屋はあまり綺麗ではなく球をむき出しにするのは抵抗があります。
外に出すのがダメというわけではなく、そういうのを否定するわけではないので念のため。
私の部屋が散らかっていて汚すぎるだけです。
多分、2U くらいに収めても何とかなるんじゃないか?という安直な考えから、ケースの中に入れることにしました。

次にデカブツのトランスですが、外に出す手もあります。
既成品でもうちのサイトだと、SONY DTC-1000ES のパルストランスとか、デザインとしてもあえて外に出すようなものもあります。
CDP-553ESD とかも外でしたね。どちらも中身ギッチギチでした。
今回使用するであろう春日無線変圧器の伏せ型電源トランスは外側に出すことができますし、バンドタイプの出力トランスはリード線引き出しの化粧ケース入りなので感電することもなく、これも外に出すことができます。
これらも内蔵することにしました。
ケース内部に余裕があることもありますが、側面や前面にトランスを出すわけにはいきません。
2U のラックマウントタイプなので、天地方向もだめです。
必然的に背面になりますが、背面の面積を大量に使ってしまうと入出力コネクタなどを置く場所がなくなります。
入出力が一系統くらいなら良いのですが・・・。

ということで、全てを内蔵することにしました。

(春日無線変圧器HPより)
バンドタイプの出力トランスだけであれば底板に取り付ける手もありますが、伏せ型の電源トランスがある時点でアングルなどに縦置きするしかなくなります。
電源トランスと出力トランスのコアは同一線上に置く必要があるため、出力トランスも立てることになります。

真空管ソケットも床置きは難しいです。
六角スペーサなどを使って底板に付けることもできますが、ソケットの配線が激しくやりにくくなります。
放熱面でも、今回は真空管を横に寝かせた方が様々な点で良い結果になると思います。
そうすると結局これも立てることになります。

ならば、一枚の板の上に電源トランス、出力トランス、真空管を全て立ててしまおう、となります。
一枚部材を増やすごとに高くなるので、載るなら分散させない方が良いです。
重量物ですし、どうせ板金を新規に作るならL字のアングルにする意味はないので、Cチャンネル状の形状にして、天板、底板の両方から支えます。
天板、底板やケースの強度アップにもなりますので一石二鳥です。

行けそうですので、方向性はこれで行きましょう。

仕様決め

まず、仕様を決めます。

  • 入力は3系統くらい欲しい
  • スピーカー、ヘッドホンを鳴らせるようにして、これをセレクタで切り替えたい
  • ヘッドホンは平衡、不平衡の出力を設けたい
  • スピーカー出力は、出力トランスの4/8/16Ωを全て用意したい

ざっくりした仕様はこんなところです。

主に PC まわりで使う場合は一系統で良いのですが、居間だったり作業部屋だと複数のソースを切り替えしたくなります。
例えば、居間だとDVDプレーヤ、PCかCDプレーヤくらいの切り替えで2系統は欲しいです。
後から増やすのは手間なので、私の使い方であれば3系統くらいあれば良いと思います。
ということで、複数の入力を用意して入力セレクタを設けます。
3系統となると、現実的にはロータリースイッチになります。

PC まわりではスピーカーかヘッドホンのどちらかを使用します。
アンプ一台で済めば楽ですし、何よりヘッドホンアンプとしても興味があります。
平衡、不平衡の切り替えは、をぺるけさんのHPを参考に標準ジャックの抜き出しに連動して自動化するとして、XLR-5pinにスピーカーの切り替えを連動させるのは困難です。
従って、スピーカー、ヘッドホンの切り替えスイッチを付けます。
トグルスイッチでできますが、巨大なトグルスイッチは格好悪く、小さいトグルスイッチは手探りで操作しにくいです。
デザイン上の都合もあり、これもロータリースイッチを使います。

スピーカー出力ですが、春日無線変圧器のトランスには4/8/16Ωのタップが出ています。
普通は4~8Ωのスピーカーが多いと思いますが、今までジャンク関係をいろいろ遊んできた身としては、4/6/8/16Ωのスピーカーの何れもいくつか使っており、6Ωや16Ωでも珍しい印象はありません。
トランス出力の場合、負荷インピーダンスで特性が変わりますし、せっかくタップが出ているので全て活かすことにします。

スピーカー、ヘッドホンの切り替えをロータリースイッチで行うので、これにインピーダンス切り替えも入れてスピーカーターミナルを共通にすることも物理的には可能です。
しかし、私の場合日常的にスピーカー、ヘッドホンを切り替えて使っており、この切り替え操作はかなり多くなることが予想できます。
一方、使っているスピーカーは固定です。
毎回同じインピーダンスに設定するのに、ヘッドホンから戻るたびにいちいちカチカチとインピーダンスを合わせるのは嫌です。
ターミナルを0/4/8/16Ωの4個ずつ出しておくと、インピーダンス切り替えはスピーカー交換時だけになるので、日常的な作業はスピーカー/ヘッドホンの切り替えだけで済みます。
見た目はゴチャゴチャしますが、インピーダンスはターミナルでの配線差し替え方式にします。
ターミナルを共通にして、スピーカー/ヘッドホン切り替えの後にインピーダンス切り替えスイッチを入れる手もありますが、3種類となるとトグルスイッチ一発では済みません。ここにもロータリースイッチを使うと高くなるので、さすがにこれは検討外としました。

これらの仕様により、リアパネルには

  • AC入力 (インレット)
  • ヒューズホルダ
  • 入力3系統
  • スピーカー出力 0/4/6/8Ω
  • 動作時間確認用アワーメータ (おまけ)

を設けます。

フロントパネルには、

  • 電源スイッチ
  • パイロットランプ (電源LED)
  • 入力セレクタ
  • 出力セレクタ
  • ボリューム
  • ヘッドホンジャック (平衡)
  • ヘッドホンジャック (不平衡)

を設けます。

電源スイッチはどっち派か

私は、保育園に上る前くらいから中学校くらいまで、Victor の JA-G6 というプリメインアンプと、そのシステム一式を使っていました。
モノ自体は安物で性能としては特に見るべきところはありませんが、そのデザインは今でも通用する格好良さがあります。
この記事を書きながら思ったのですが、無意識のうちにこの影響を強く受けていた可能性があります。
直感で左が電源スイッチと思ったり、今回のようなデザインを思いつくのは、ひょっとしたら私の根底にこれが刷り込まれているのかもしれません。

話が戻りますが、私は電源スイッチは基本的に左側にあるべきだと思っています。
私を含め、世間大半は右利きです。
従って、よく操作するものこそ右にあるべきであり、逆にあまり操作しない電源スイッチは左が良いというのが持論です。
(右を否定するわけではないので念のため・・・機器の種類や機能、周りの機器との調和等で変わります)

例えば、プリメインアンプであれば、電源スイッチを触るのはON/OFFの時だけですから左が良いです。
一番触るのはボリューム、次いでセレクタですから、これらは右の特等席を与えてあげたいところです。
逆に、トーンコントロールなんかは触りはしますが、基本的には固定、むしろ誤って触ると嫌なので積極的に左に押しやりたいところです。
右利きであれば概ねこのような配置が使いやすいと思います。

(オーディオの足跡より)
もう見た瞬間に懐かしくて涙が出てきました。組み合わせていたカセットデッキがこれです。説明書によるとオプションだったようですが、同じくVictor の KD-A2M でした。

ANRS などの NR もなく本当に基本機能しかありませんが、再生中でもテープを触れてピアノキースイッチ、回転式のカウンタ、音楽に合わせて動くVU メータと、色々な楽しみを教えてくれたデッキです。
一時停止半押しで高速になるどうでも良いテクや目分量で頭出しをする技も身につけましたし、巻き上げ部分がくるくる回ってるから手で回したらバネが弾けて「お前取れるのかよ!」とか、見た目でピンチローラやヘッドが汚れてくるので、「あ、これ掃除すんだな」とか、巻き上げがへたってくると鉛筆を突っ込んで回す手助けをして「もっと頑張れよ」とか。ダビングなんてできないので、もっぱらマイク付きラジカセがお友達です。
説明書があったので、ここから綿棒とクリーニング液での掃除が始まりました。当初は湿式ビデオクリーナーの液とかを使っていましたが、成分表示がアルコールだったので、この頃からアルコール+綿棒です。

最終的に録音すると巨大な発振音が再生され、何度かやっているとうまくいく故障が発生し、なんかヘッドが帯磁するらしい・・・と電気屋で買ってもらった消磁カセットを試して「ピュッ!」とか爆音になったりしていました。
ゴムベルトの交換とかはしていましたが(輪ゴムだけど)、小学校中学年くらいだったので結局この録音の時の理由がわからず、ヘッドが悪いんじゃないかと粗大ごみから同じような見た目のヘッドを取ってきて移植し、ヘッド移植の難しさを教えてくれた大切な先生でした。拾ってきたヘッドはシールド線を切ってきたので、直接ヘッド裏の端子ににハンダ付けしていた記憶があります。気合でだいたいトラックは合いましたが、ハウリングみたいな発振は全く変わりませんでした。今から思えば、多分録音/再生切り替えスイッチが接触不良だったんだと思いますが。

※よいこの皆さんは、ヘッド交換には改造テープとかテープパスチェック用のカセットハーフと、基準テープと2chオシロスコープが必要なので真似してはいけませんよ!

話が逸れましたが、これでも同じことが言えます。
よく操作するのは再生や停止、巻き戻しで、これは断然右側にあるべきです。
録音時は録音レベル調整ばかりなので、録音レベル調整ボリュームは左に寄せすぎてはだめで、一番押しやすいところに停止と一時停止ボタン。
録音レベルを右手で操作して左にあるメータを見るのはOK。逆に左手で操作して右にあるメータを見るのは、自分の感覚だと両手をクロスして使うような感じで合いません。
やはり刷り込み効果なんですかね?私の感覚だとこうなんですが、他の人がどうか気になるところです。

という感じで、私は基本的には左側が電源スイッチ、右に良く使う操作関係を設置するべきだと思います。
ただし例外もあって、万一の際とっさに触るべきものが右に来るのは全く問題ありません。
パワーアンプなどがそれで、据え置きのパワーアンプは基本的にボリュームは触りません。
万一事故が起きたらボリュームを絞るのもそうですが、非常時は電源スイッチ切らないといけません。
その他、緊急停止的な使い方をするなど、直感的にその機械の操作に合っていれば、電源スイッチが右でも構いません。

映像関係は単純明快です。
センターデザインでないビデオであれば、普通は左側にテープ挿入口があります。
テープを入れてしまえば出し入れするまで左側に用はありません。
良く操作する再生や停止などの主要なキーは右側が多いですが、電源スイッチに関しては左以外のものを見た記憶がありません。

一方、オーディオ関係は、電源スイッチの位置が左だったり右だったりします。
(YAMAHA PC2002M 取扱説明書より)
よくある YAMAHA の PC シリーズは基本的に電源が左です。


(Crown HP より)
Crown/Amcron あたりだと左右両方ありますが、ざっくり分けると PAに使うような MACRO-TECH みたいな大出力タイプは右で、小型~中出力くらいは左になっているイメージがあります。
想定用途ごとに変えてるような感じ?です。

(KLARK TEKNIK HPより)
1U ~ 2U くらいのエフェクタ関係は種類が多いだけあって、右だったり左だったりしますが、ぱっと思いついた感じだと何となく右が多いような気がします。
EQ に至っては、KLARK TEKNIK DN360 あたりの他、YAMAHA の Q2031 とか、DBX の DBX-2031L とか、ぱっと思いつく大半が右です。
TOA も Victor も右、その他もろもろ右で、左にあるのは SONY と RAMSA くらいしか見たことがありません。

(取扱説明書、YAMAHA HPより)
よくある機材として、YAMAHA SPX90 あたりの世代はだいたい左に電源スイッチがありますが、SPX990
とか最近の SPX2000 あたりになると電源スイッチは右で、最近のラインナップは全体的に右になっているような感じがあります。
YAMAHA の場合、パワーアンプは最近のシリーズでも一貫して左になっているイメージがあります。
わざわざ分けてるということは、何らかの設計思想があるんだと思います。

やはり普段使うものですから、直感は非常に重要だと思います。
ボタン操作で例えると、上下矢印のキーがあるのに上矢印キーで下に行けば混乱しますし、左右も同じです。
上下矢印で値の増減をするなら、上がプラス側でしょう。

今回は自分で作って自分で使う機器ですので、私の直感に合わせたものにします。

デザインの方向性はちょっと迷いました。
ラックマウントタイプなので、もろに業務用に振っても良いのですが。
フロントパネルに配置するものが少ないのに面積がでかいので、あまり無骨にして空間がスカスカしているといまいちな感があります。
手探りで使うことがあるので、つまみはやや大きめの方が良いです。
ひょっとしたら家族用に一個くらい置いておくかもしれないし、あまりイカツすぎるのも微妙かもしれません。
ラックとの親和性もあるので、業務機と民生機を足して二で割って、やや民生機側に振ったようなデザインにすることにしました。

そうすると、右側に電源スイッチの案は却下になります。
プリメインアンプみたいなものですので、

  • 一番良く使うであろうボリュームを、最も操作しやすい右側の特等席に配置する
  • 電源スイッチは私の直感から左で、操作頻度が比較的低いこともあり一番左に配置する

方向で作ることにします。

部材選定

ACインレットやヒューズホルダ、スイッチは、汎用 EIA 2U ラックケースの設計 で選定したものを使用します。
ケース設計に影響するような追加部品がいくつかあります。

  • つまみ
  • ヘッドホンジャック
  • ロータリースイッチ
  • アワーメータ

です。

まずつまみですが、フロントパネルで一番目立つもので、美観に大きく影響します。
普段一番触れるものなので、使いやすいことも重要です。
選定する上での条件はいくつかあって、

  • 色は黒色があること
  • ローレット付きなど、指掛かりが良く滑らないこと
  • 指示位置表示があって、つまみの指示位置がわかりやすいこと
  • 大小の2サイズが同一の見た目で揃うこと
  • 大小の2サイズは高さが明確に違っていて、かつ大きいサイズの方が背が高いこと
  • つまみの高さが低すぎないこと
  • つまみの高さが 28mm 以下であること

です。
前半は見ての通りですが、高さとサイズに細かい注文があります。

大小2サイズは、最も操作するボリュームを大きくしてわかりやすくしたかったためです。
仮に説明なしで私以外の人が使っても、ひとつだけ大きいものがあれば多分ボリュームだとわかります。
また、大音量が出てしまってとっさに下げる時など、反射的に触りやすいこともあります。

次に入力セレクタと出力セレクタですが、これらは一度決めたら変更するまで触りません。
従って、ボリュームほど目立つ必要はありませんし、むしろ誤操作したら困りますので、ボリュームより小さくすべきでしょう。
この優先度は非常に重要だと思います。
仕事でも同じですよ、たまに至急とか大至急があるからこそ中身を見なくても優先度が高いものがわかります。
みんな調子に乗って、下らないことでも全て大至急って書いてきたら意味がありません。全部優先度が平等になり、上から処理していくことになってしまいます。

次に高さですが、低すぎると指掛かりが悪くなります。
また、個人的には爪がパネルに当たるのは良くありません。
最近致命的に酷かったのは SONY のα700 で、グリップを握ると中指を置くところとマウント周辺に爪が当たる設計で酷かったです。
中指が長いとか個人差もあるんでしょうが、あのクラスの大きさのカメラでぶつかったのは他に記憶がありません。
次のα900で改善されていたので良かったですが。

既成品でも指をかけると爪が当たるものは結構あって、積み重なるとストレスが貯まります。
よって、低すぎるのはだめです。

反対に高さ28mm以下、というのは、汎用 EIA 2U ラックケースの設計 で付けたラックハンドルの高さが 30mm のためです。
このハンドルはフロントパネルの保護も兼ねています。
どこかにぶつけた時や、フロントパネルを下にして置いた時、つまみがハンドルより高いと保護されません。

あまりにもギリギリだと困りますし、つまみは完全に密着させるとフロントパネルに擦ってしまうため、ざっくり 2mm 減じました。

2種類の高さについては、直感的に大小を見分けやすく、かつ見た目が良くなることです。
高さが逆転して、直径の大きいつまみの方が背が低くなると不細工ですし、操作するときに普段触らないはずのセレクタに指がぶつかることも想像できます。
上の写真は実際に選定したものですが、ボリュームだけ背が高くなっています。
こうすると、ボリュームを触る高さで手を左右に動かしても、セレクタが引っ込んでいますので手がぶつかりません。

大小が揃い、高さも順番になっているものは少ないです。
直径が小さい方が指掛かりが悪くなるためか、意外に小さいほうが高さがあるものが多いのです。

(サトーパーツHPより)
また、大小が同じシリーズで揃っても、高さがほとんど変わらないシリーズもあります。
これはサトーパーツの K-5475 シリーズです。
左からφ30、φ25、φ20 で、5mm ステップの三種類があります。
一方高さはというと、13mm、14mm、13mm でほとんど変わりませんので、私の要求は満たしません。

(サトーパーツHPより)
つまみは、ただでさえ恰好良いものが少ないのに、デザインが揃っていて2サイズというと余計に選択肢が少なくなります。
そうして行き着いたのが、サトーパーツの K-59 シリーズで、今回はこれを使用します。

色はブラック、シルバー、ブロンズが選べます。トップがスピン目、周囲はローレットで見た目良く、指かかりが良好で滑りません。アルミの削り出しなので高級感もあります。
本当は指示位置に反転色で墨入れされた矢印かラインがあれば良かったのですが、良さそうなのがありませんでした。
指示位置表示が浅い切り欠きになるので、正面からの視認性は少々悪いですが、入手容易な既成品で一番好感触だったものを選択しました。

次にロータリースイッチですが、今まで使用していた ALPS SRRN シリーズが軒並み廃盤となり、次いで目をつけていた岩通のスイッチも廃盤になりつつあります。
今回は、入力セレクタだけでなくスピーカー出力の切り替えもしますので、必然的にややゴツいロータリースイッチが必要になります。
また、入力セレクタはショーティング、スピーカー出力はノンショーティングで、2種類のタイプが必要です。

いろいろと探したところ、東京測定器材の RS-500 シリーズが非常に良さそうでしたので、これを使用します。

RS-500 シリーズの30度のものは、1ノッチの間に遊び端子が設けられています。
遊び端子を遊ばせたまま使用するとノンショーティングですが、遊び端子を1と遊び端子、2と遊び端子のように結線すると、ショーティングとしても使用できます。

段数や回路数も豊富で、低圧は AC 30V/1.5A (銀接点タイプ)なので、今回のようなスピーカーの切り替えでもOKです。もっとも、SRRN があればそっちを無理矢理使ったかもしれませんが。
この RS-500 シリーズは門田無線に置いてあります。

接点数が決め打ちの ALPS SRRN と異なり、ストッパーで接点数が変えられます。
ストッパーのネジ位置を変えれば後から1系統増やすこともできます。
少々高価ですが、後々のことや感触を考えると、まぁ悪くないかなと思います。
ちょっとだけ振り戻しもありますが、ガッチリした感触のノッチ付きです。

(Panasonic HPより)
最後にアワーメータです。
別になくても何ら問題ありませんが、なんとなく付けたかったので付けました。
どれだけ使ったかわかりますし、メンテナンスなどの目安になるかもしれません。
ただし、モーターが入っているので、電源が汚れる可能性はゼロではありません。

小型アワーメータというと、他にOMRONもデジタル式のものを作っています。
今回は、

  • 精度は別として、寿命は単純な Panasonic の方が長いような気がする
    (デジタル式はスイッチング電源をはじめ色々と入っている)
  • だいたいの時間がわかれば良い
  • デジタルは液晶を割ったら終了
  • 見た目はアナログの方が合いそう
  • 無通電時でも通電時間確認可能

等の理由で、今回は Panasonic の TH631 AC100V 仕様にしました。

ヘッドホンジャックは、フロントパネルのところで後述します。

フロントパネル構成の検討・設計

先ほど、フロントパネルに用意するのは

  • 電源スイッチ
  • パイロットランプ (電源LED)
  • 入力セレクタ
  • 出力セレクタ
  • ボリューム
  • ヘッドホンジャック (平衡)
  • ヘッドホンジャック (不平衡)

としましたので、これらをざっくり配置していきます。
まだ寸法は入れませんが、干渉については大体検討しておきます。

まず、

  • 電源スイッチは一番左
  • ボリュームは右側の特等席

と決めたので、これを配置します。
電源スイッチは一番左側ですが、左に行き過ぎるとハンドルに近く操作しにくくなりますし、ネジや内部の補強板のことも考えるとある程度の制約が出ます。
だいたいの感覚で配置します。

また、今回配置するリストからいくとボリュームの右側に置くべきものがないと思いますので、直感からボリュームは一番右とします。
私の感覚から考えると、本音を言えば上図の青色矢印、

  • 左側のハンドルから電源スイッチの距離
  • 右側のハンドルからボリュームつまみの距離

を同じくらいにしておくと美しいようには思います。

しかし問題があって、ボリュームを右に寄せすぎると、ボリュームを回した時に手がハンドルに接触します。
びっくりしてとっさに手を話したり、ビクッと反応してしまうとグッと大音量側に回してしまう可能性があり、危険なことは避けたいところです。
また、一番操作する部分なだけに、しょっちゅう干渉したり、干渉に怯えながらおっかなびっくり使うような設計にしてしまうのは最悪です。

従って、右側のボリュームだけ、多少内側に寄せます。

次にヘッドホンジャックの位置を決めます。
ヘッドホンジャックにヘッドホンを繋いだ時、ケーブルが垂れます。
手探りで音量を調整する時に手がケーブルに絡まったり、コネクタにぶつかるのは避けたいところです。
正面から操作するなら恐らく大丈夫ですが、PCの脇に設置して斜め横から操作することがあります。
右手でマウスを操作しながら画面を見て、左手で左側にある機器を手探りで操作しますので、ヘッドホンジャックはボリュームの横にするべきではないでしょう。
従って、ヘッドホンジャックは左側に持って行きます。

ヘッドホン出力は、平衡と不平衡としてキャノンコネクタ、標準ジャックの2種類付けてあります。
これらは二つ同時に接続することはないはずですが、差し替えなどで同時に差さる可能性があります。
キャノンコネクタを差したまま、右手で標準ジャックを握って差し込んでも干渉しないように配置しました。
標準ジャックがキャノンコネクタの上揃いになっているのは、後述するようにデザイン上の点もありますが、キャノンコネクタのセンターの水平線上に配置すると干渉の点で不利になることも理由の一つです。
水平線上に置くと、右手親指がキャノンコネクタに当たりますが、上揃えにすることでキャノンコネクタのRの部分に親指が来ますので当たりにくくなります。

近いと同じ用途であることがわかりますので、2つのコネクタを離しすぎるわけにはいきません。
ぶつからず遠からず、見た目も悪くならないような位置関係になっています。

また、後述のようにここには不平衡出力時にアッテネータを入れます。

  • 縦ラグ板は5ピン分必要ですので、7ピンのものを使用する
    (センターのピンはシャーシに落ちてしまうので都合が悪く、6ピンは左右非対称なので外した)
  • 抵抗の足を継ぎ足さず、全て空中配線可能な範囲に近く配置する
  • キャノンコネクタ、標準ジャック間を一直線に配線できるように配置する
  • 干渉はもちろんのこと、狭すぎて作業性が悪いのもダメ
  • ロータリースイッチからの配線をすぐ受けられ、配線が動きにくくする
  • 配線経路自体の見た目も美しく

等の制約があるので、当然これらも配置決め時に考慮する必要があります。
見た目との両立は結構難しいです。

次に入力とセレクタと出力セレクタをどうするか考えます。
上図のように二つ並べても良いのですが、同じサイズのものが二つ並んでいると、どちらが何のつまみなのか紛らわしいです。
後々インレタを入れる予定ですが、インレタなしの場合は自分でも混同しそうな感じがします。
ただし、右利きの人が正面から操作する場合は、垂れたヘッドホンケーブルを避けて操作できるメリットはあります。

これはちょっとだけ悩みましたが、上で書いたように手探りで操作することが多々あるので、やはり二つ並べない方向で行くことにします。

ヘッドホンジャックを挟んで左右につまみを設置すると、恐らく手探りで間違えることはありません。
この方向で行くことにしますが、吟味しないと失敗しそうなデザインです。

ここで、左右にあるつまみに割り当てる機能を決めておきます。

  • 左: 出力セレクタ
  • 右: 入力セレクタ

にしました。
この2つのうちボリュームの近くにあるとすれば、それは入力セレクタでしょう。
配線経路を考えた場合でも理にかなっていますし、直感的な感覚が指していますからこれしかありません。

問題はその配置です。
ヘッドホンジャックがつまみとつまみの間に来ますから、操作した時にぶつかりやすくなります。
また、上図の矢印で指した

  • 電源スイッチ~ロータリースイッチ
  • ロータリースイッチ~ヘッドホンジャックのグループの中間
  • ヘッドホンジャックのグループの中間~ロータリースイッチ
  • ロータリースイッチ~ボリュームの端

あたりが等間隔か、等間隔に近い距離で並んでいると見た目が悪いです。

先ほど、ボリュームの横に置くなら入力セレクタと書きましたが、ヘッドホンジャックと二つのつまみが同じくらいの距離だと、どっちがどっちを指しているかわかりにくくなります。
出力セレクタはスピーカーとヘッドホンの切り替えですから、直感的にペアであることをわかりやすくするためには、これらを近づけると良いでしょう。
こうすると、キャノンコネクタを差している時につまみの操作がし難くなりますが、スピーカーとヘッドホンが意図せず切り替わってしまうことは困りますので、むしろかえって良いでしょう。
ただし、あまりにも近すぎると、キャノンコネクタを握ったまま差そうとするとつまみに当たってしまいますので、そのあたりは吟味する必要があります。

ボリュームと入力セレクタはペアですが、あまりにも近すぎると操作するときにぶつかったり、手探りで見つけにくくなります。
ある程度離すことが望ましいと思いますので、直感的にこのくらいなら大丈夫なレベルまで移動します。

キャノンコネクタは大きく、取り外しボタンがニッケルめっきみたいな銀色なので、フロントパネルの中でも目立ちます。
電源スイッチ、キャノンコネクタ、入力セレクタがほぼ等間隔だと不細工なので、これはずらすことにします。

今回は、後述のように下揃えしていますので、重要なところでぱっと目につくのは以下の二点です。

  • キャノンコネクタの下端から入力セレクタの左端
  • 入力セレクタの右端からボリュームの左端

ボリュームと入力セレクタより、キャノンコネクタと入力セレクタの間を広くし、キャノンコネクタは入力セレクタと別であることを明確にします。

キャノンコネクタと出力セレクタが近くなったので、実物を並べて操作してみて、干渉しないくらいまで離します。
ただし、電源スイッチとキャノンコネクタの中間につまみが来ると、ちょっと不細工な気がします。
ほとんど趣味の世界ですが、センターは好きではないので、ちょっとだけオフセットをかけます。

電源スイッチは高さが低いので、つまみの操作するときに電源スイッチに干渉することはありません。
また、電源スイッチはつまみと異なり人差し指一本で押しますから、他のものが多少近くても問題ありません。
電源スイッチと他のつまみがペアリングであることはまず考えられないので、出力セレクタを電源スイッチ側にオフセットすることにしました。

私は、marantz のような左右対称デザインより、左右非対称で偏りつつもうまく纏まっているデザインが好きです。
このあたりは好みもあると思いますが、私の感覚だと、完全に等間隔だと揃ってはいるんだけどどうも・・・と、微妙な感じがあります。
かといって、全く揃っていないとバラバラの印象で、これまた微妙な感じがあります。
パネルが広いので、そのへんのバランスが崩れると極端に目立ちます。

  • 赤色の出力セレクタ中心からキャノンコネクタの端
  • 赤色の出力セレクタ中心から、電源スイッチの中心

をだいたい等間隔にして、ちょっとだけ感覚で微調整しました。
実はボリュームと入力セレクタ、標準ジャックあたりも、端から端、端からセンターのようにいくつかのパターンで合わせたりずらしたりしています。
あちらも、最終的には見た目とカンで微調整してあるので、完全に一致となるようにはしていませんが。
何となく揃っていて、不揃いだけどそこまで違和感もなく、微妙に揃っているのでバラバラ感も少ないバランスになったとは思います。

今までの説明は既に下揃えになっていますが、縦方向の配置は見た目の印象に大きく響きます。
2U だと空きスペースが多くなり、いろんな大きさの部品が混ざっているので、センタリングすると締りがなく微妙な印象になります。

今回は赤線のように部品の下で揃えることにします。
ただし、電源スイッチとつまみ、キャノンコネクタは微妙に大きさが異なります。
全て下揃えにしてしまうと、左半分の部品の上側のライン(青線)がガタガタになってしまいます。

そこで、大小のつまみは完全に下揃えにしておき、電源スイッチは小さい方のつまみのセンターライン上に配置します。
次いでキャノンコネクタですが、メス側ですので加工穴に被さるように取り外しボタンが付きます。
後々、インレタを入れることを想定しており、ボタンに隠れると都合が悪いので、取り出しボタンの上側を小さいつまみの上側のライン(青線)で上揃えにします。
キャノンコネクタ右下の皿ネジは下揃えに使用した赤線より下にはみ出ていますが、上図のように赤線を引かない限り、ほとんど気付かないと思います。

次に標準ジャックですが、これは下揃えにしてしまうと見た目でも下過ぎますし、コネクタの干渉などを考え、キャノンコネクタの丸穴の上側で上揃えにします。

ほぼ完成版の図で説明してきましたが、ここでフロントパネル内部の全体的な高さを決めます。
まず下側の図ですが、いくら下に寄せるといっても限度があります。これでは下に寄せすぎでしょう。
上側の図では、若干上に上げ過ぎな感があります。
この中間くらいが良く、これは感覚でざっくり決めていきました。

つまみを下に寄せるのは簡単ですが、中身がついてこれるかは別問題です。
検討初期のものなので若干位置や形状が違いますが、ケース内側のクリアランスをチェックしているところです。
フロントパネル内側には補強用のチャンネルを入れるため、フロントパネルの真裏は内寸が小さくなります。
従って、つまみは付けられても、ロータリースイッチなど内部部品が干渉して付けられない可能性があります。

ボリュームの方は、つまみφ48に対して ALPS RK27 は 27mm角(正確には異なる)くらいなので、とりあえず今回の説明では省きます。
Neutrik のレセプタクルは、フランジの部分が入れば良いので簡単です。
標準ジャックは、見ての通り小さいので大分余裕があります。
一番危ないのはロータリースイッチです。

今回使用する、東京測定機材のロータリースイッチ、RS-500Nシリーズです。
円形に端子が出ている岩通のロータリースイッチと異なり、卵型に配線を引き出してあるタイプです。
図面上のMax寸法でいくと 39mm×35mm ですので、まず縦横どちらに使うかを考えます。

フロントパネル内側のCチャンネル状に入れる補強材を A5052P t2 とすると、
底板のクリアランス1mm+底板t 2mm+補強材 2mm=5mm
となり、フロントパネルの下辺から少なくとも 5mm までは使用できません。

ロータリースイッチの本体寸法はからげ端子の先端までですが、実際に結線するとなるとギリギリでは配線を噛んでしまったり作業性が悪くなるのである程度の余裕が必要です。
長手の39mm側を縦にした場合、からげ端子が左右に来るので、特に気にするのは最下部の配線部のみになります。
ここで 2mm 減ってしまうのは非常に痛いです。

今回はつまみがφ30なので、
ロータリースイッチの長手寸法39÷2-(つまみφ30÷2)=4.5mm
となり、つまみの端から4.5mm オーバーしています。
フロントパネルの内寸は少なくとも 5mm 使用できないので、全く余裕を検討しない場合でも、つまみの端はフロントパネル下辺から 9.5mm 以上空けなければいけません。

一方、短辺側を縦にした場合、これが単純計算で 2mm 緩和されますので、デザイン上の余裕ができます。
底板側に配線を引き出さなくても、卵型にからげ端子が引き出されていますので、後ろでも横でも配線を引き回す余裕があります。
実際には配線のことを考えると、端子の端からクリアランス5mm 程度は欲しいところです。
ここで 2mm 失うのは非常に痛いため、長手方向が横になるようにして設置するようにします。

スイッチの現物を見ながらある程度余裕を見越て、ざっくり製図して、見た目のバランス的にどうかをチェックしつつ進めていきました。

電源LEDの位置は地味に悩みました。
電源スイッチの右に置くのは、1U であれば良いとしても 2U以上となると変なところにあるようで不細工です。
後々インレタを入れるつもりなので、電源スイッチの左上とか右上でも困ります。
センターライン上で、POWER のインレタのすぐ上なのも近すぎて微妙な感じがします。
インレタの直近であればインレタの下にLEDのが良いようにも思いますが、そうすると近すぎて変な感じがします。

そうして決まった電源LEDの位置がこれです。
センターライン上のちょっと離したところであれば、インレタを入れても入れていなくてもとりあえずは纏まっているように見えますので、最終的にこれにしました。

最後に、パネル内の全体的な位置を微調整します。
電源スイッチやつまみ類を1ブロックとして考えた時、上図の赤線のようになります。

  • この赤線で示すブロックの下端から、フロントパネル端の距離 (青色矢印)
  • 電源LEDの上端から、フロントパネル端の距離 (青色矢印)

の2つの距離を同じに揃え、バランスを取って完了です。

このフロントパネルですが、基本的にはネジは目立ちません。
8箇所皿ネジがありますが、フロントパネル黒に対して鉄の三価黒を使いますから、保護色でわかりにくくなります。
つまみ、スイッチも黒なので、銀色のものは目立ちます。
キャノンコネクタの取り外しボタンは、使い勝手から考えるとまぁ目立っても仕方ないところですが、標準ジャックの六角ナットは目立ちます。

他が全て真っ黒で、それなりにシックな外観になると思われるだけに、真ん中にデーンとナットが鎮座するのは少々残念です。
せっかくここまでやったので、これを表に出さないよう設計します。
そこは拘りましょう。このパターンでどんどん泥沼にはまっていくような気もしますが・・・

次にヘッドホンジャックですが、ぺるけさんの作例でやっている平衡、不平衡の自動切り替えとするには、スイッチ2回路入りのものが必要になります。
絶縁、非絶縁共に意外と売ってはいるものの、ラインナップ的には若干特殊なタイプです。入手容易というと、マル信の一種類しかありません。幸い手持ちがありますので、同じものを使用します。

ところでこの絶縁タイプ、私はずっとマル信の MJ-018E だと思っていたのですが、カタログを見てみるとどうも違うようです。
回路構成と足自体は同じですが、ぱっと見ではサイドに伸びているシールド板の形状が全然違います。
また、回り止めがボッチでなく、本体ネジ部分の側面を切り落としたようなタイプのようです。
外形寸法自体も違うので、小変更されたというよりそもそも別物な感じです。
私の手元にある、どこで買ったか忘れたジャックも見た目はぺるけさんのと同じっぽいんですが、これ一体どこの何なんだろう・・・

寸法がないと始まらないので、現物から起こすことにしました。

私の手元の個体の実測したところ、だいたいこんな感じでした。
21.95mm とかは本来 22.0mm だと思われますが、この図は測ったままの生値で丸めてたりはしていません。
端子は省略しています。

付属しているワッシャ、ナットはこんな感じ。
ナットの方は、二種のように両側が丸めてあり、三種のように薄いタイプです。

フロントパネルは真っ黒ですが、その中に銀色のでかいワッシャ、ナットが出るのは避けたいところです。
今回は、フロントパネルにヘッドホンジャックのワッシャ、ナットが出ないように設計します。

フロントパネル群の断面図はこちら。
フロントパネルは、様々な理由から三枚構成になっています。
私の予定だと、平板のフロントパネルと、A5052P 無垢のCチャンネル状の補強材の2枚構成予定だったので、大げさです。
たかだかナット一個隠すのにここまでするか、ムダじゃないか?とも思いますが、まぁ一回目ですし妥協無く気に入るものを作りたいところです。

ヘッドホンジャックは、フロントパネルと完全に面一だと公差で引っ込んだ時に完全に刺さらなくなります。
また、ヘッドホンプラグを差し込む時にぐりぐりすると、フロントパネルに傷がつく可能性があります。

フロントパネルは A5052 t3 で、内側の2枚は t2 です。
ヘッドホンジャックのパネル取付面から先端までは実測 7.55mm なので、7.55-3-2-2=0.55mm
となり、ヘッドホンジャックが組み立て状態で 0.55mm くらい飛び出すようになっています。

青色のところがヘッドホンジャックのワッシャ、ナットです。
ワッシャが t0.5、ナットが t2 なので、二枚目の板厚 t2 をオーバーします。
フロントパネル側を彫り込むことで対応しますが、 0.5mm だとまずいので、センターで 1mm +公差指定としました。

万一、ヘッドホンジャックや金属加工の公差でヘッドホンジャックの先端が引っ込んだ場合は、ワッシャを外して対応します。

依頼予定の日本プレート精工だとNCTで抜いていくようですが、この加工をするとフライスが入るのでその分高価にはなってしまいますが・・・。
ちなみに、秋葉原でお馴染みの奥沢に過去色々出したことがありますが、あっちはこの手の簡単な加工でも加工跡を見る限りNCフライスっぽいです。積み上げていくと、ひょっとしたらトントンになるかもしれません。

まず、フロントパネルの補強材となるCチャンネル状の部材がこれです。
当初は、A5052P 無垢にして表に出さない構造のつもりでした。

標準ジャックの六角ナットを隠すためには、取り付ける板より前に、
少なくともワッシャ0.5mm+六角ナット2.0mm 以上の彫込みなりスペーサが必要です。
フロントパネルの板厚は 2U 程度であれば t3 のつもりでしたが、公差を見込んで仮に深さ 2.5mm くらい掘り込もうとすると、t3 の板厚だと加工が厳しいです。
ダメ元で加工先の日本プレート精工に限界を聞いたところ、反対側に影響が出るのがNGなら、可能であれば板厚の半分くらいまでで止めたいとのことでした。
次いで板厚を聞いたところ、ヘアラインアルマイトは t3 くらいまでとそれ以上で結構価格が変わるとのことだったので、フロントパネルは t3 から動かさず、小細工をして対応することにしました。

結論は、補強板は単なるスペーサ代わりとして、この裏側にサブプレートを付けて、標準ジャックはそちらに固定することとしました。
元々 Cチャンネル状の補強材は、導電性のために A5052P 無垢として考えていました。
サブプレートに導電性を持たせれば、この補強材自身は極端な話表面に導通がなくても構わないことになります(※)。
また、パネル分離などの都合で、標準ジャックだけサブプレートにするくらいであれば、他の部品も全てサブプレートに固定した方が良いです。

フロントパネルにアルマイトをかけるなら、基本工賃が載った時点で一枚増えても大幅なコストアップにはなりません。
この補強材も黒アルマイトをかけることにしました。
この補強材に黒アルマイトをかけた場合、フロントパネルから内側の補強材が見えても黒地に黒ですから問題ありません。
それなら、フロントパネルのつまみ、スイッチなどの構造物を全て落とし込みにすることができます。

剛性、ネジ強度、スペーサの厚みを考慮し、A5052P t2 黒アルマイトとします。
電源のロッカースイッチは、このパネルに取り付けます。

※正確には、皿ネジの傘部分をヤスリで軽く削り、補強材自身はネジを介してシャーシアースを落とします。
補強材の表面はアルマイトがあるので導通がありませんが、全ての構造部材自体はシャーシアースが落ちています。

フロントパネルです。
電源スイッチ、つまみ類は外寸+2mm 分のサイズにしてあり、ここに落とし込みになりますので大穴があるだけです。
キャノンコネクタのみ、板厚が t3 を超えると取り外しボタンが効かなくなるので、このフロントパネルに皿ネジで固定します。
A5052P t3 ヘアライン黒アルマイトとしました。

最後に、サブプレートがこれです。
標準ジャック、ロータリースイッチ、ボリュームはこのサブプレートに取り付けます。

ロータリースイッチ、ボリュームにシャーシアースを落とすため、導電性がある必要があります。
加えて、直接操作するものが付くので剛性も必要です。
強度と標準ジャックが表に出る寸法より、A5052P t2 無垢 とします。

こうすることで、先ほどの図のように、パネル前面に 0.55mm くらい標準ジャックが飛び出す形になります。

わかりやすくするために、組立途中の写真で説明します。
この黒いものがCチャンネル状の補強材です。

裏から見たところです。
内側に寄生しているのが、サブプレートです。
Cチャンネル状の補強材の皿モミ部分をヤスリで少し削り、ネジを介して導通があります。
ロータリースイッチ、ボリュームが内側のサブプレートに触れることで、シャーシアースに落ちます。

フロントパネルを取り付けるとこうなります。
三段になっているのがわかります。
ここの掘り込み部分につまみが落ちますので、銀色のサブプレートは完全に見えなくなります。

シャーシアースポイントは、後述する真空管やトランスが乗っているベースプレートですが、シャーシアースポイントからフロントパネルのサブプレート間に導通があることがわかります。

(宇都宮螺子HPより)
サブプレート→補強材→フロントパネルの順に組み合わせますが、補強材とサブプレートは皿ネジで固定します。
M3 の皿ネジは頭部高さ(k)が 1.75mm(+0, -0.3) ですので、一見 t2 の板に問題なく使えるように思えます。
実際にケース外側では全く問題なく使用できますが、皿ネジを挟む形で平板同士を接合する時には使えません。

皿もみも厳密に交差指定しない限りはラフですし、あまり細かくすると加工が高くなります。
また、t2 くらいだと深めに掘ると相手側を面取りしないと遊んでしまうので、浅めになっていることが多いと思います。更に、普通 A5052P 等の平板はマイナス方向の公差になっています。

これらを積み上げていくと、実際にはコンマ数mm レベルですが頭が飛び出していることが多いです。
ケース外側であれば実用上問題ないですが、ケースによっては飛び出ています。
ノギスやハイトゲージなどを使わなくても、触ればわかります。

今回はぴったりくっつけないと浮きができてしまうので、頭が出るのは困ります。
皿もみしつつもあまり公差を細かくせず、相手側を面取りせず、中級くらいの公差を吸収できる秘密兵器があります。

左が普通の皿ネジですが、右側は皿小ねじ小頭です。
同じ皿は皿でも傘が小さいのがわかります。
皿ネジの頭部高さ 1.75mm(+0, -0.3) に対し、皿小ねじ小頭の頭部高さは 1.3mm(+0,-0.3) ですから、全く飛び出ることなく使用できます。

実は、以前作った 1U のヘッドホンアンプにもこのネジのM3、M4を使用しています。
奥沢の 1U ケースは天板、底板が t1.5 なので、このネジでないと頭が飛び出てしまうためです。
M4 でも頭部高さ 1.4mm(+0, -0.3) ですので、頑張れば t1.5 でも相手側を面取りせずに使えます。

注意点としては、皿(傘)の部分が小さいので十字もそれに合わせて小さくなっており、使用するドライバが異なります。
普通のM3は+#2ですが、小頭は+#1でないと使えません。

名前は似ていますが、普通の皿ねじ(皿小ねじ)とは異なります。
凄く特殊っぽいネジに思えますが、これは住宅用のサッシに使用されているものでサッシビスとも呼ばれています。
東急ハンズや大きいホームセンターでも、実はこっそり置かれています。
これは、八幡ねじの20本入りパックです。

このネジの存在自体はわりと普通で、M4 以上はどこでも入手できます。
が!残念ながら M3 となると特殊な部類に入ります。
まずホームセンターや普通の金物屋では在庫がないでしょう。ネジの専門店が近くにない場合は通販に頼ることになります。

また、その本来の用途上、材質も限られています。
容易に入手できるものは、ステンレス、次点でアルミの二択です。
サッシ用に色付きのものしかないこともあります。

例によって私はまとめ買いしているので通常の皿ネジとほぼ同価格ですが、使いやすい鉄ニッケルとかになると入手ルートが非常に限られます。
真似される場合、通販や特殊なものが嫌であれば、M4 を使用することをお勧めします。
M4 で材質を問わない場合は、どこでも入手できます。

このネジを使うことで皿(傘)が引っ込んだ状態となるので、各ネジピッチに公差が蓄積していってずれたりしない限り、ぴったり密着させることができます。

トランス、真空管実装用ベースプレートの検討・設計

ざくっと書いたのがこちら。これは全ての加工を適当に作図したものです。
平板ではありませんが、とりあえずベースプレートとでも呼ぶことにします。

軽量化と防錆いらず、導電性ありということで材質は A5052P です。
板厚は、カンで t2 でしょう。
内部部品なので多少傷ついても良く、表面に導電性のなくなるアルマイトをかける意味もないので、表面仕上げはなしです。

これに至るまでには、以下のようにしていきました。

まずベースプレートの横幅です。
サイドパネルまで伸ばすこともできるのですが、

  • サイドパネルにも穴加工が必要となるが、サイドパネルは価格を抑えるために一種類だけの共通部材にしたいのでこれは避けたい
  • ベースプレートと本体の固定は全てバーリング(かタップ)にしたいが、4面ともバーリングにすると精度がいるので積み上げ公差の問題が出る
  • ベースプレートをサイドパネル内側まで伸ばすと斜めにしないと入らなくなるが、改修時に既設の部品に干渉してそこら中外すのは嫌
  • 基本構造自体はどの部品からでも外せる汎用ケースのコンセプトに反する

ことから、サイドパネル間に入れることにします。
サイドパネルはCチャンネル状の部材なので、ぎりぎりにすると入らなかったり、入れにくくなります。
私のカンとしては各 2mm ずつ空ければ問題ないと思いますので、そのくらいにします。
幸い同じことをリアパネルにも適用しており、左右各2.5mm のクリアランスで幅 370mm ですので、ベースプレートも 370mm にします。

高さは汎用ケースの内部と同じですので割愛します。
高さ方向(ケース左右から見た方向)に折り返しを入れると、当然ながら鉛直方向が格段に強くなりますが、

  • すぐ両サイドに、ケースのサイドプレートがありある程度そちらで効果がある
  • 両端にバーリングがあるので曲げにくい
  • 両端の際にトランスの固定穴があり、これが変形し(伸び)て欲しくない
  • コスト
等の理由から、高さ方向には曲げを入れていません。
電源トランス側はそれ自体が補強になることもありますが、出力トランス側は横方向に二点止めなので大して効かないでしょう。

全長が決まったので、載せる部品の配置を決めます。
電源は後述するように左側に置くので、左端は電源トランスになります。
そうすると、右端は出力トランスに決まります。

電源トランスと出力トランスは離した方が良く、真空管同士も放熱スペースが欲しいので、できるだけベースプレートの両端いっぱいまで使いたいところです。
ただ、あまりにもネジが端すぎると強度が落ちますし、板金加工面でも端ぎりぎりは良くありません。
カンで 10mm ずつ内側に寄せることにします。
このあたりの詳細寸法は公表されていませんので、先にトランスを買ってきて現物から起こします。

電源トランスと出力トランスのコアは同一線上に置く必要があるため、縦方向は全てセンターライン上に配置します。
また、電源トランスから出力トランスへの飛びつきを極力減らすにはコア方向も重要ですので、何よりもこれを優先します。
これで、電源トランスと出力トランスの向きが決まります。

電源トランスは四隅ネジ止めなので強度はOKですが、バンドタイプの出力トランスは2点止めです。
ベースプレートを立てて使うため、強度の点からいくと縦2点止めとなることが望ましいのですが、コア方向を優先すると横方向の2点止めになります。
これはやむを得ませんので、せめてもの救いとして接触面積の大きくなる M4トラスで固定します。

また、電源トランス、出力トランスは重量物の上に振動します。
転ばぬ先の杖として、6N6P ではネジ止め剤塗布、6DJ8 ではダブルナットにしています。

次に、電源トランスと、電源トランスに隣接する出力トランスの距離を決めます。
電源トランスの影響を一番受けるのが、この出力トランスになります。

どこまで隣接して良いかというと非常に難しいです。トランスの組み合わせで限界に挑戦するとなると、実験で測定するしかありません。
ぺるけさんはこのあたりを色々と実験で測定しています。
試作実験の上で頒布用のケースを作っていますので、恐らくその寸法であれば問題ないんだと思います。

相互干渉を測定すること自体はできますが、聴感上やこのアンプの仕上り状態でどのくらいに抑えれば良いかなど、このあたりのノウハウは恥ずかしながら持っていません。
各ピッチやカットアウト寸法は、メーカーデータに寸法記載がない箇所は現物から起こしたり検討して設定しましたが、恥ずかしながらこの電源トランス~出力トランスのネジピッチだけは、ぺるけさんのものを見て、同じ 28mm にしました。

電源トランスの開口穴は、電源トランスにノギスを当てながらカンで □48mm×42mm にしました。
私のケースは縦置きとなるため、配線が擦れにくくなるよう配慮したのもあります。

※左図はカッコがないですが参考寸法です。
左右の出力トランスの位置が決まりましたので、次は真空管です。

当然ながら真空管は発熱するので、ある程度のスペースが欲しいところです。
今回は、

  • ケース幅
  • ベースプレート
  • ベースプレート両端から、一番端の部品までのクリアランス
  • 電源トランスと隣接する出力トランスの距離

の順に位置が決まってきました。
左右のトランスの位置が確定しているので、よほど切迫しなければこの間で動かすしかありません。

真空管はある程度の直径があるので、単純に出力トランスのネジ~ネジ間で均等割すると、真空管間が狭くなってしまいます。
今回は、トランスのバンド部を除く本体壁面、真空管の壁面をざっくり均等割りして、微調整はベースプレート上での寸法が半端な数値にならないよう決めました。
真空管自身は発熱するものなのである程度問題ないと思います。

一方、出力トランスは電源トランスほど暖かくなることはないと思いますが、炙りまくるのは少々可哀想な気もします。
そこで、真空管同士を若干内側に寄せ、トランスから真空管を雀の涙ほどですが離しました。

結果、図面上のピッチはこのようになっています。
キリの良い数字になりました。

次に出力トランスまわり。現物から起こした概略外形が青色の線です。
出力トランスはカバー付きで、からげ端子ではなくリード線引き出しタイプです。
真空管ソケットなどの配線の都合や発熱部分から回路部品を離すため、トランスの手前側に配線を引き出しますが、本体を揺すった時にベースプレートのエッジで被覆が擦れてしまいます。
ここにゴムブッシュ(グロメット)を入れて、配線を保護します。
図面上のφ8の穴がそれです。

(タカチカタログより)
ブッシュはサイズが小さすぎると配線が入らず、大きすぎると遊んでしまいます。
トランスの現物からちょうど良さそうなものを選んだ結果、内径 φ5 のものにしました。

スリットの寸法は 8mmすから、金物であればカットアウト寸法は少なくとも φ8.4以上にするところですが、ゴム部品ですので以下の理由よりあえてφ8としました。

  • キツ目の方が回転せず良い
  • 柔らかいので、変形させながら嵌め込むことが可能
  • 直径が小さい(スリット中央を押す)ほど、フランジ部分が板に食いつくように変形する

これは完成品を見たところです。
出力トランスの配線引き出し穴の直下にゴムブッシュ付きの穴を空けていますので、すぐに導線できます。
また、あまり大きすぎる穴にしなかったので、配線を少しだけ余らせた上で結び目を作り引っ張り防止(抜け止め)とすることができます。
抜け止めは両面ともに実施しています。

真空管ソケット付近。
配線を考えた時、縦2点止めにできそうだったのでこのようにしました。

真空管をケース内に内蔵としたため、放熱性が有利な国産のタイトソケットを使用します。
真空管ソケット固定穴に縦ラグを共締めしてグリッド抵抗などを載せるので、ガッチリ共締めできるようキリ穴にしました。

リアパネルの検討・設計

リアパネルはこのようにしました。
全体を第三角法で書いていってバラしたので、作図の都合で左右ひっくり返っています。
アワーメータが見えなくならないよう、電源インレットとヒューズを下段にしました。

まず、スピーカー出力端子の配置を決めます。
(これは左右正しく作図し直したものです)
4/8/16Ω全結線することとしたので、各ch あたり4個のターミナルが付きます。

縦に4個配列すると作業性が著しく悪いので、上段がL ch、下段がR ch としました。
ターミナルは0Ωを黒、他を赤としますが、0Ωのみややピッチを広げることで、見た目でも0Ω側を判別しやすくしました。

16Ωを使う機会は少ないと思いますが、0Ωは毎回必ず使います。
後述のように左下にケーブルが出るので、結線をしやすくするため左側を0Ωにしています。

回り止めを見てわかると思いますが、工夫点としてケーブルを斜め45°左下に出しています。
既成品とかだと上か横にケーブル穴がありますが、ターミナルが並んでいる時は著しく結線がやり辛く、上下に機械があると余計悪化するのが常々嫌だと思っていました。
左利きでも使えるっていうとどうしてもそうなるんでしょうが、そもそも配置が悪いことも多いように思います。

写真はわかりやすくするためにつまみを外していますが、右利きであれば左下にケーブルを出すことで、左手でケーブルを持ちつつ、右手でつまみを締めることができます。
また、上段、下段共に同じような操作感で作業でき、上段が結線してあると下段が作業しづらいことがありません。

また、つまみのピッチもやりやすいよう配慮しています。
最小ピッチを 25mm としたので、親指と人差し指で摘み回転させた時、指の爪や第一関節付近がとなりのつまみに当たりません。
個人差もあるので、このあたりは人によるかもしれませんが。

次に入力コネクタですが、私の趣味で Neutrik の DLX シリーズとしました。
DLX シリーズはラインナップが多くカットアウト寸法が同じなので、後からRCAに変えたりオスメスをひっくり返したりできます。
ダミーパネルも売っていますので、塞ぐこともできます。

入力のうち、一系統のみはキャノンコネクタのオスメスをスルー結線にしておくことにしました。
スルーとして使うこともできますし、オスメスどっちの仕様が来ても11-12の立ち上げがそのまま使えます。

コネクタ間のピッチはちょっと悩みました。
スピーカーの配置と合わせて、上段がL、下段がRチャンネルにするため、背面左からCH1、CH2、CH3
となります。
ここだけ見た時、上段が IN 1, IN 2, IN 3 なのか、それとも L/L/L ch なのかわかりにくくならないよう配慮します。

  • スルー出力はピッチを狭め、同じであることを直感的にわかりやすく
  • 入力系統 1, 2, 3 のピッチ(横) を、スルーより若干広げ、縦(L/R) がペアで、横(1, 2, 3) が別なのを直感的にわかりやすく
  • ブロックを奇数単位にして、わかりやすく
    (縦が2個、横が3種類であれば、横がL/R はありえないでしょう)

のようにしました。

(これは、作図都合で左右反転しています)
結果、ピッチはこのようになりました。

そのへんのパッチ盤や小型ミキサのマイク入力は、キャノンコネクタ間のピッチが狭く詰め込んであることが多いです。

今回は視覚的に系統を分離させるため、入力系統ごとのピッチは 36mm と余裕を持ったので、隣にキャノンコネクタが来た場合でも指が干渉しません。
スルー出力を使用しても作業性が悪くならないピッチで、かつスルーのある系統は一番端に配置したため、全結線した場合でも問題なく作業が行えます。
また、上下段間のピッチもやや余裕を持たせたので、指が取り外しボタンに届きます。

放熱穴の検討・設計

真空管の発熱対策として、天板、底板に放熱穴を設けました。
上図は各部品を重ね書きしたところですが、真空管間をセンターとして、出力トランスの1/3くらいまで空けています。

天板から見て本体後部全体に空けてしまうと、電源インレットやヒューズホルダが丸見えになるので危ないです。
実際に製作したものには熱収縮チューブを付けてありますが、転ばぬ先の杖として必要最小限の場所に留めました。

この放熱穴はパンチングメタルだと弱くなり、かつ別部品になってしまいます。
見た目が良く、放熱穴エリアが少ないだけに開口率を上げたいこともあり、シンプルに長丸穴を並べるようにしました。
長丸穴のサイズですが、

  • このケースや私の製作では M3 皿ネジを多用しているので、これが中に入らないようにしたい (幅φ3くらい以下)
  • 胸ポケットに硬貨が入っていることが多いので、硬貨が入りにくい長さが好ましい (長さ 20mmくらい以下)
  • パンチ数をむやみに増やしたくない (さすがに数が数なので高くなってくる)
  • プレスなら一発で抜ける型が良い
  • 見た目もバランス良いサイズ、配置の方が良い

これを全て満たす、特に一発で抜ける点を入れると難しいです。
仮にNCフライスであれば、加工費を考えずに見た目だけで言えば自由に指定がききますが、今回依頼する予定の日本プレート精工で安くやってもらおうとするとプレス(NCT) です。
プレスの場合色々な型があり、ピンポイントの型がなければ追い抜きしてもらうこともできますが、型と型の間の繋ぎ目にダレができます。
こういう大量に長丸穴が並んでいて、かつエッジが丸見えになるようなところだとダレは非常に目立ちますので嫌です。

型が押し付けられる側にダレができるので、抜き方向を裏から抜くように指示する手もあります。
そうすると、表側の見た目はマシになりますが、その方向で抜くと表側にカエリが出ます。
全エッジは糸面取りの指示を図面に入れてあるのでカエリは取ってくれる筈ですが、普通ざっくり削るだけなので指の腹で撫でると加工したことがわかります。
これは肘や服を引っ掛けた時にあまり良くありません。

一発で抜ける型であれば、見た目のことを気にしなくても良くなります。
当然ながらダレは出ますが、ケース外側をダレ側にしてもらうと、ケース外側のエッジが内側に向かってやや丸みを帯びます。
肘や服が引っ掛からなくなり、むしろ好都合です。
ケース内側は普段触らないので、極端な話カエリが荒く除去されていても問題ありません。
カエリは削ることができますが、ダレは除去できないので一発で抜ける型から選ぶのがベストです。
プレス数も少なくなるので、多分コスト面でも有利なような気がします。

ということで一発で抜ける型から選びます。
実は、4U のケースの時に同条件のφ3×20 とか φ3×18 (これはないだろうな・・・)
の有無を問い合わせており、一発で抜ける寸法に一部変更した経緯があります。
図面変更が面倒で、ピッチを変更せずに変更指示したのでスリットが細くなっていますが。
残念ながらφ3×20近辺では、φ3×30 か φ3×6 のみ保有とのことだったので、φ3×30 としました。

穴方向は、真空管に沿い、かつ荷重をかけた時にキリトリ線のように歪まないよう奥行方向を縦にしました。
横ピッチは6mm として、3mm 幅の穴、3mm幅の板・・・が連続するようにしました。
縦方向は、あまり詰まらない範囲でキリの良い25mm としました。
横30個×縦4個で、こちらも所望の範囲を空けつつキリの良い数字にしました。

(灰色塗りつぶしは省略部分です)
縦ピッチを 25mm とすると、約2mm リアパネルかケース中央のベースプレートに被さる形になります。
必要以上にピッチを変な数字にしたくないので、穴エッジ基準をリアパネル側としてベースプレート側にはみ出るようにしました。
ただし、加工位置の公差と穴寸法の公差 (-R) は考慮していません。

リアパネル側基準としたのは、置いた時の見え方からです。
上写真のように見た場合、穴エッジの奥側であるリアパネル側に段ができた場合目立ちますが、逆に手前側のエッジは影になって見えないので 2mm くらいであればほとんど目立ちません。

逆に、リアから見た場合は、この2mmのズレが確実にわかります。
これはどこまで効くかわからなかったのでできたところ勝負でしたが、リアパネルをエッジ基準としたのは正解でした。

まとめ

ぺるけさん設計のミニワッターをラックマウントケースに入れるため、汎用 EIA 2U ラックケースの設計で検討した構造をベースに、EIA 2Uケースを設計しました。

このケースで、

  • 平衡型6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型 (製作記事
  • 平衡型6DJ8全段差動プッシュプル・ミニワッター 2Uラックマウント型 (製作記事

の二種類を製作しましたが、非常に満足の行く出来栄えで大成功でした。

回路は、6DJ8版は継ぎ接ぎして電源、定電流まわりを変更しましたが、他はほぼ全てぺるけさんのと同じです。
作る前、せっかく作るなら多少なりともオリジナリティを出したい、と思っていました。
EIA 2U に放り込んだ変な人は今のところいないようですし、デザインも一風変わった風情に仕上りました。
例によって大げさにやり過ぎたような気もしますが、作って良かったです。

コメント(3件)

とむ さん

2014年1月21日 01:38

はじめまして。
自作機器をラックマウントシャーシに入れたいのだけどどうしたものかと探していたところ、ここを見つけました。
フロントパネルかっこいいですね!

気になるのは工賃なのですがどのくらい目安ですか?

Tik さん

2014年1月24日 20:31

とむさん、ありがとうございます。

私の場合、共通部材を多めに発注したので、一台分での加工費は試算はしていません。
部品点数が多いので、もし一台分だけ加工してもらうと多分4万超えてしまう気がします。

一台だけ作って後から触らない場合はメリットが非常に少ないので、同じようなことをされるのはお勧めしません。
もし見た目だけの問題で外注して同じようなものを作るのであれば、奥澤やタカチのケースに追加工を依頼するか、私の作ったタイプならシャーシを弁当箱スタイル(箱、フタ、フロントパネルの3部品)に設計変更して部品点数を減らさないと現実的ではありません。

とむ さん

2014年1月25日 15:34

お返事ありがとうございます。
やはりそれくらいはかかるのですね。
設計からやるのが楽しそうだと思ったのですが、沢山作らないと現実的じゃなさそうですね。

自作機器をカッコイイケースに入れるのは色々大変です。
あれこれ検討している時間も楽しいのですけどね!
それではまたのぞきに来ますね。

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